秩父の「ようばけ」を観る

2022年4月9日(土)、久しぶりに秩父に行った。行きの西武秩父行きの特急電車はコロナ禍の第7波が心配される中ではあったが、ほぼ満員に使い状態であった。「社会的」にコロナ禍が終わりつつあることを実感する。

秩父で、最近、テレビでよく見かける小鹿野町がどういうところか実際に見てみたくて、秩父市に住む娘の車の運転で、秩父ミューズパークを抜けて、小鹿野町の奈倉地区にある「ようばけ」に行った。秩父ミューズパークの中の桜がいたるところで咲いており、綺麗であった。道路の法面もコンクリートブロックではなく、段々状の自然景観にあうように工夫がなされ、なかなか良い。

「おがの化石館」の駐車場に車を止めて「ようばけ」まで歩いて行く。その途中から「ようばけ」が遠目に見える。天然水を使っていると云う豆腐屋さんの前を抜け、「ようばけ」が眼前に迫る赤平川の川原に到着する。

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「ようばけ」という言葉自体初めて知ったが、これは秩父盆地の基盤をなす海成層(古秩父湾堆積層)の褶曲断面が露出(高さ100m、幅400m)している崖で、「夕陽の当たる崖」という説もある「日本の地質百選」にも選ばれる秩父を代表する大露頭である。「ハケ」とは崖の古い言い方とのこと。

ジオパーク秩父 ようばけ 

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歩いて行く道の途中からも「ようばけ」が観られるが、この崖をつくった(侵食した)赤平川まで来ると、対岸に観ることができ、圧倒される。確かに、謳い文句通り、地球の「大地の記憶」ジオパークである。宮沢賢治もこの地を訪れている。タモリのような地質学が好きなマニアにはたまらない場所であろうと思われる。ここは化石も多く見つかるとのことで、親子で化石探しをしている様子も見られた。

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帰ってきて、「おがの化石館」(有料)を観る。ここは海成層ということもあり、カニ類や貝類の化石が多く展示されていた。おがの化石館と同じ地層が分布する長若地内から、昭和56年にパレオパレドキシアの化石が発見され、その骨格模型が入口正面に展示されている。パレオパラドキシアは、今からおよそ1,500万年前(新生代第三紀中新世)に日本と北アメリカ西海岸の海辺で生息していた哺乳類とのこと。

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残念なのは、入学式直前の子供が小学生扱いとして入館料を取られたり、受付が無愛想なこと。

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なかなか出会えない地層の露出が見られたり、川原で石投げをしたりと、古を偲びながら穏やかな時間を過ごせた。改めて、秩父の風景をあちこち眺め、良いところだなと思う。また、ゆっくり来てみたい。

しかし、帰りの電車内で、シニアの一団と車両内で乗り合わせたが、大声での会話が凄まじく、とてもコロナ禍下の対応としてふさわしくなく、残念であった。