TOKYO2020の振り返り

2021年9月5日に東京パラリンピックが閉幕し、TOKYO2020が終了した。誘致の段階、競技場整備の段階、1年延長し開催に至る段階、開催中の段階、それぞれにおいていろいろあった。その後のコロナ感染急拡大、風水害、自民党総裁選等により、あっという間に忘れ去られようとしているが、果たして、TOKYO2020がめざしたレガシーは残せたのだろうか。最終的には、全ての事務的残務処理が終わり、総括報告書(決算報告書は来年4月以降の見通し:武藤事務局長談)があがるまで待たなければならないが、主催者側の公的総括の前に、競技関係以外の開催運営に関わるメディア等からの情報を以下に記してアーカイブしておきたい。

処分・廃棄問題

[食品ロス] 開催が進むに連れ、改善されたようであるが、相当規模の廃棄があり、まさに「もったいない」。事前に、日々の需給実態を把握し、廃棄せずに、活用する食品ロス対策(販売・フードバンクへの提供、飼料・バイオガス化 等)を検討し、仕組み化(含むITシステム化)しておくべきものである。実態は、そうなってはいなかったようで、なんとなく、建設残土・廃材等の処分が関連業者任せになっていることを想起させる。
▼五輪食品ロス「13万食1億1600万円分」だけじゃない!他にもある理由とは?食品の一部は23区で販売 井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)8/28(土) 7:52YAHOO! JAPAN ニュース 

[医療物資廃棄] 食品とは異なり、使用できるものを廃棄したとされる医療物資は、9会場で、マスク3万3000枚、消毒液380本、ガウン3420枚とのこと。コロナ禍において、必要とされるのではなかろうかと思えるが、組織委員会はそうは思わないらしい。
▼《現場写真入手》五輪組織委の医療物資廃棄 スタッフの告発「譲渡を提案したのに…」 「週刊文春」編集部2021/08/31 source : 週刊文春 2021年9月9日号 文春オンライン
▼五輪組織委 医療資材大量廃棄を謝罪「見通し甘かった」マスク3万枚など500万円分2021.08.31 デイリー

[関係者輸送用車両]
「競技会場・選手村・国際メディアセンターなどの拠点間移動に使用された市販車を中心とした関係者輸送の車両(トヨタ車:オリンピックで約2700台、パラリンピックでは1700台)の内、約2700台がトヨタディーラー系の中古車店で販売されるとのこと。
▼オリ・パラで使用されたトヨタ車約2700台はどこへ? そのまま中古車市場へ大量流入中 2021年9月13日 ベストカーWeb

レガシー問題

[開催意義問題] 3.1兆円の(興行)費用をかけ、2.3兆円の赤字を出し、経済効果6兆円とされるTOKYO2020の意義、価値、レガシー等がどうであったのか、各種データが開示されるにつれ、データに基づいた分析・評価が今後本格的になされるものと予想される。
▼東京オリ・パラの赤字は総額2兆4000億円!政府・都・組織委の「不都合な真実」いよいよ明るみに 公開日:2021/08/31 14:50 更新日:2021/08/31 15:25 ゲンダイ
▼オリンピックは興行である 改めて問われた「価値」とは 原田 泰 (名古屋商科大学ビジネススクール教授) WEDGE Infinity
▼東京五輪、持続可能性のレガシー残せるか 2021.9.10 日経ビジネス

[競技施設問題] オリンピック・パラリンピック後の使用会場についてはこれまでの開催国においてもその維持に苦労している。今回の新国立競技場(建設費1,569億円)についても、屋根のない構造が故に、興行的には使いにくいとされ、その維持・活用(維持費用24億円)も未定の中、サンクコスト的判断が期待できない日本でどういう形がありうるか、知恵が問われている。
その他の施設でも、「東京都がオリ・パラのために新たに整備した6つの施設のうち、収支見通しで黒字なのは『有明アリーナ』だけで、ほかの5つ(競泳会場、カヌー・ボート会場、カヌー会場、ホッケー会場、アーチェリー会場)は赤字となり、その額は合わせて年間およそ10億8500万円と見込まれています」とのこと。
▼国立競技場、祭りの後は… 活用法に制約、維持費重く 屋根なく天候影響/音漏れ懸念 2021年9月7日 2:00 日本経済新聞
▼オリ・パラ 新整備の5施設 赤字見通し 収益性高められるか課題 2021年9月6日 4時49分 NHK
▼「東京五輪の赤字」誰が負担する? 「大きすぎて額がわからない」ってアリ?
2021年09月16日19時45分 J-CAST

東京オリ・パラ後「新国立競技場取り壊し」という選択肢もアリ 2021.9.12 幻冬舎GOLD ONLINE

[国民へのレガシー] 国内の日本国民に対するアンケート調査(NRC)によると、「開催前に期待されていた経済効果は無観客開催により限定的となり、コロナ感染拡大の不安を抱えつつも、オリンピック開催によって、スポーツやアスリートへの関心が高まり、パラリンピック開催により障がい者への理解が高まるという形でその影響が残されたことが推察されます。」とのことである。しかし、設問そのものが、当初目的としていたレガシー等の確認とはなっていない。
これに対して、海外メディアは、今大会を総括して、「唯一無二(like no other)の五輪、不朽の名作(classic)として記憶される、選手が自らの精神不調を公言した点で画期的などと評価しつつも、コロナ禍の五輪が日本に複雑なレガシーを残すという見方や、収益を優先し一貫して開催に拘ったIOCの体質への批判も示された。」とのこと。「復興五輪の証」にはどのメディアも言及していない。

▼東京2020オリンピック・パラリンピックに関する定点観測世論調査 第4弾
「国民が感じたオリ・パラ開催による日本への影響とは?」 公表日 2021年09月16日 日本リサーチセンター

▼東京2020オリンピック閉幕、大会の評価 投稿日 : 2021年08月21日 公益財団法人フォーリン・プレスセンター 
▼総花的になりがちな「五輪レガシー」の初志とは何だったのか? 立命館大学産業社会学部・金子史弥准教授に聞く(前編) 日経クロステック 2021.07.26
▼東京2020オリンピックは日本国民に何をもたらしたのか ~独自データから読み解く、国民の真意と今後~ 2021年9月16日 野村総合研究所

新型コロナ感染問題

2020TOKYOの大会関連者の感染者数が453人(国立感染症調べ)、863人(NHK調べ)が多いか少ないか。これだけでは新型コロナ感染への影響を評価できない。約5.5万人の海外からの来日者(選手を含む大会関係者)があり、無観客といえども、国内の人流増加につながるイベントであることには違いがなく、日本全体としての傾向変化を見なければいけない。加えて、多数の国からの集散者が交錯すれば、新たな変異株の発生リスクもあったはずである。そのあたりを関係専門家に明らかにして欲しい。
▼【図解】訪日外国人数、8月は2.6万人、オリパラ選手・関係者の入国で一時的な増加 -日本政府観光局(速報) 2021年09月15日 トラベルボイス
▼東京オリンピック競技大会に関連した新型コロナウイルス感染症発生状況(速報)令和3年(2021年)8月20日 国立感染症研究所
▼五輪・パラ 東京大会全体の新型コロナ感染は863人 2021年9月8日 15時05分 NHK

放映問題

「放送権料や、長時間放送の制作費が莫大にかかっていることは事実。各局独自に制作しているものも多い。ここ2、3大会もそうだが、全体として見れば収支が整うという状況にはとてもない。赤字であるという状況」とのこと。その赤字は結局は誰が負担するのか。
▼東京五輪中継は赤字「放送権料や長時間放送の制作費が莫大にかかっている」2021年9月16日15時56分 日刊スポーツ
▼「東京五輪の赤字」誰が負担する? 「大きすぎて額がわからない」ってアリ?
2021年09月16日19時45分 J-CAST

さいごに

競技等の公式記録集や公式映画等とは異なる運営等に係る記録も事実ベースで残し公開して欲しい。それが、日本の今後のイベントマネジメント、プロジェクトマネジメント、リスクマネジメント等の格好の教材となる。ある意味ではそれこそがレガシーかもしれない。

不都合な事実の諸相

近年、勝手はあり得なかったような事態「不都合な事実」が相次いでいる。逆の意味で常態化している。国としての構造的な劣化ではないかと危惧される。次から次へと起こる事態に流されるなか、当事者を異動させ、組織を改廃し、忘れ去られていくのをいささかなりとも今後に活かすため、アーカイブとして残しておく。

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コロナワクチン開発のイノベーション

世界での新型コロナワクチン接種が180カ国で約30億回、1日あたり約3,850万回に達し、ワクチン接種先行国では感染拡大のスピードが落ちてきている。立ち遅れていたわが国においても、ワクチン接種がようやく本格化し、2021年6月19日時点で、2回接種完了者率は7.0%となっている。7月末までには、高齢者への接種完了が見えてきた。オリンピック開催に向けて、感染力が強いとされてデルタ株(インド株)への置き換わりとワクチン接種の競争となっている。

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コロナ禍の諸相

コロナ禍対応の現状

今月一杯(2021年5月31日)まで、新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言が出されている。2021年5月9日時点で日本の9割以上が英国由来の変異株に置き換わり、その感染力、重症化はより強くなることが予想されている。ワクチン接種もこれから本格化すると思われるが未だそのスケジュールは曖昧である。オリンピック・パラリンピック2020東京の開催の是非の議論も表面化し始めた。

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新型コロナ惨敗の認識を

コロナ対策の遅れがポストコロナの出遅れに

世界で新型コロナ感染が止まらない。感染者は1.5億人に迫り、死亡者は310万人を超えた。 こうした中、日本の感染状況は人口に比して低い状況にあるも、感染者数は56万人、死亡者も1万人を超えた(2021.04.26現在)。現在、変異株による第4波の状況下にあり、医療崩壊が危惧され、3度目の緊急事態宣言が出されている。

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東日本大震災10年の振り返り

2021年3月11日、東日本大震災という激甚・連鎖・広域型(大地震⇒大津波福島第一原発事故)の大災害から10年が経過した。福島第一原発事故は「The situation is under control」(状況はコントロール下にある)として、復興五輪として誘致したオリンピック・パラリンピックTOKYO2020がコロナ禍の中、1年遅れで開催するか否かが議論となっている。当初10年間の期間限定設置であった復興庁も延長された。被災の実態、そして被災後10年のいま、どういう状況になっているのか、今後どうすべきなのか、アーカイブ的に取りまとめた。記録はもとより、記憶にも留めておき、来る大災害に備えたい。

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新型コロナ対策関連アプリ/システム開発の仕組みの不具合

新型コロナウィルス対策関連アプリ/システムの開発に関して、不具合が発生し、日本のアプリ/システム開発力の構造的問題を改めて認識させられている。

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26年を経過した阪神・淡路大震災に想ふ 

本日(2021.1.17)、阪神・淡路大震災[犠牲者6,234人、住宅全半壊約25万棟]の発生から26年が経過した。阪神高速道路の高架構造箇所が倒れ、多くの建物が倒壊・屈折した衝動的な映像から26年。

筆者自身は、当時の所属企業内に立ち上げたばかりの「社会リスク研究会」の実践として、発災後の関連主体の動き等をアーカイブするべく情報の収集及び体系的整理を行い、発災直後の混乱が収まった3か月後に現地に入り実態を直接確認し、米国のFEMA(Federal Emergency Management Agency 連邦緊急事態管理庁に倣った「3か月後レポート」を作成し、関係者に配布させて頂いた。

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新型コロナウィルス禍のこの1年の振り返り

2020年は新型コロナウィルス感染症パンデミックで明け暮れた1年であった。Japa日本専門家活動協会では、こうしたパンデミックの経緯をアーカイブするべく、「新型コロナウィルス感染症特設コーナー」を立ち上げ、随時、アーカイブすべき情報を選別し、アップしてきた。年末にあたり、その事実経過を振り返るべく整理した。

詳細情報は、「新型コロナウィルス感染症特設コーナー」を見て欲しい。

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