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書籍のWEB公開に想ふ

Business Model WEB書籍 クラウド 時評 電子出版 電子図書館 電子書籍

最近、WEB上で発売前、あるいは発売後の本を全文公開する例が現れ始めている。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 著者:クリス・アンダーソン 販売元:日本放送出版協会 発売日:2009-11-21 おすすめ度:4.5 クチコミを見る
どうも国内での発端は、「フリーミアム:フリー(無料)+プレミアム(割増料金)」なる言葉を流行らせたクリス・アンダーソン著「フリー<無料>からお金を生み出す新戦略」(NHK出版)のようである。1万人限定で発売前に一定期間、PC上で本文全編が無料閲覧(プリントアウトは不可)できた。NHK出版はこの本だけのサイトFREEMIUM.jpを開設し、PRにこれ務めている。新たなマーケティング方式のようだ。

できるポケット+ クラウドコンピューティング 3時間でわかる次世代ITの実像できるポケット+ クラウドコンピューティング 3時間でわかる次世代ITの実像 著者:小林 祐一郎 販売元:インプレスジャパン 発売日:2010-02-15 クチコミを見る
インプレスジャパンも「できるポケット+クラウドコンピューティング」を[期間限定]無料先行ダウンロードキャンペーンとして実施している。購入者には「電子書籍版(PDF)の無料ダウンロード特典付き」となっている。

クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21) 著者:角川 歴彦 販売元:角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日:2010-03-10 クチコミを見る
角川書店角川グループホールディングス代表自らの著である「クラウド時代と<クール革命>」を期間限定で全文無料公開していた。PDFでのダウンロードは出来ない。中途半端。宣伝書かマーケティングの実験か見間違う。「大衆による巨大知」なる言葉を造語しているが要するに「集合知」の事だ。

生命保険のカラクリ (文春新書)生命保険のカラクリ (文春新書) 著者:岩瀬 大輔 販売元:文藝春秋 発売日:2009-10-17 おすすめ度:4.0 クチコミを見る
文藝春秋は、ネット生保の副社長の著による「生命保険のカラクリ」をこれも期間限定(4月15日まで)で全文ダウウンロードできる。こちらはPDFでダウンロードできる。しかし、ペーストはできない。

こうしてみると、みんなこわごわしている感じがする。WEBにアップ公開する限り、ダウンロードでき、ペーストもできなければ意味がない。少なくとも書籍版を購入したものにはWEB版のダウンロード権あるいはWEB版へのアクセス権が欲しい。

ということを考えていると、ソフトウェアと同じように、書籍にも、印刷製本版、ダウンロード版、クラウド版という選択的形態があれば良いということに考えが至る。

人によっては、書籍を置く場所がない。本の保存で悩んでいる者が少なくない。小生もまた然り。段ボール箱に20箱あまりリビングの隅っこに積み上げている。必要なときに箱から探し出す。

しかし、こうしたときに、ダウンロード版やクラウド版があればこうした悩みが解消する。要するに、必要なときに自分が購入した書籍を再度読めれば良いである。膨大な紙の書籍の返本・廃棄問題もなくなる。こうした形態になれば、木を原料とする紙の消費量を減らし、地球環境上も良い。

図書館も現物を保有する図書館は限定的ですみ、大半は電子図書館(これもクラウド版)に置き換えられる。電子図書館ということは要するに個人が自らの図書館を持つのと同じである。

現在、アマゾン・ドット・コムの「Kindle」とか、アップルの「iPad」とかいろいろ電子書籍を読む端末ツールが話題になっているが、その基底にはこうした本質的な変革の流れがある。これは有料ベースの知識の出版・流通・ストックの仕組みがWEB時代にふさわしい形態に変わることを意味する。

東京新聞の記事(2010年3月10日朝刊)によると、日本の大手出版会社31社が「社団法人 日本電子書籍出版社協会」を立上げ、この24日設立総会を開くようだ。また、アメリカで「キンドル」が売上を伸ばしているのは紙の書籍の半額以下という安さにも一因があるとのことであるが、制作・流通コストを考えれば当然である。しかも、紙と違って劣化しない。

誰が新たな仕組み、インフラ、端末を制するか、いまそのせめぎあいの中にいる。