集合知・群衆智について想ふ

■ 現在は、歴史的な構造変革の時代 =「答えのない時代」

このような時代には、多様性のある自立した個人/個人小集団の意見(個人知)の総体としての「集合知 Collective Intelligence 」や、専門家個人/専門家集団による「専門知 Wisdom of professionals 」、そしてそこからもたらされる新たな知の創造すなわち叡智化による「群衆智  Wisdom of Crowds 」が意味を持つ。

群衆智は、ことわざでいうところの「三人寄れば文殊の知恵」。「知の摺り合わせによる社会的合意」もまた群衆智と言える。

要するに、多様な個人・集団による「知」(学問知、経験知、実践知)によって新たに生み出されるのが「智」と言える。

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
著者:ジェームズ・スロウィッキー
販売元:角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日:2009-11-25
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「みんなの意見は案外正しい THE WISDOM OF CROWDS」(ジェームズ・スロウィッキー著、小高 尚子訳、2006/1/31、角川書店)によれば、真の群衆智になるための賢い集団の要素として次の4点が上げられている。

 1.多様性(各人が独自の私的情報/意見を多少なりとも持っている)

 2.独立性(他者の考えに左右されない)

 3.分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)

 4.集約性(個々人の判断を集計して集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在)

■ 移ろいやすい集合知 陳腐化が加速する専門知

商品サイクルWEB社会は、情報・知識の流通・普及スピードが速いため、集合知は移ろいやすく、専門知の陳腐化は加速する。かように、知識の賞味期限は短縮化するが、知恵(考える力)には賞味期限・年齢劣化がない。

従って、市場における創造的競争破壊による一時的独占(=利益)の享受期間も短縮化するため、革新的な新たな智恵・アイデアを生み出し続けることが持続的成長のエンジンとして不可欠となる。

■ 革新的な新たな智恵・アイデアを生み出し続ける場の構築

革新的な新しい智恵やアイデアが触発され創発されるには、「知の刺激」が不可欠である。知の刺激が得られやすくなる環境として、

 1.集合知や専門知の全体像を俯瞰できること

 2.必要なときに必要な相手とダイレクトコミュニケーションできること

等があげられる。

こうして得られる知の刺激により、知識の融合・一体化が、そして新たな智恵・アイデアが触発され創発される。すなわち、「知のイノベーションである。この知のイノベーションを惹起する環境(見える化された土俵)の提供を目的として、今般「みんなの知 日本の知」サイトを開設した。

新たな智恵・アイデアを生み出す母体となる集合知については、既に視点の異なるユニークな個別サイトが数多く存在する。しかし、それらを俯瞰できるポータルサイトは存在しない。 このため、多様な集合知の結果(サイト)を統合し俯瞰できるように見える化したポータルサイトとして構築したのが「みんなの知 日本の知」サイトである。

このポータルサイトは上記の賢い集団の4要素を満たすものであり、日本の旬な今そして集合知の全体像が投影されている。 是非、一度ご笑覧いただければ幸いである。