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偽装問題とその対策の仕組みについて

イオンの偽装米や、阪急阪神ホテルズ、リッツ大阪に端を発して、食材偽装問題が再び続々と表に出ている。食材以外でも、宅配便のクール便やチルドゆうパックの輸送偽装(常温輸送)、JR北海道のレールデータ改ざん、みずほ銀行の反社会的勢力への融資の偽報告、ノバルティス・ファーマの血圧降下剤開発に係る論文データ偽装等々、個人というよりも企業・業界としての体質に起因する偽装が発生している。発生しているというよりも、隠していたものが発覚しているといった方が適切かもしれない。

偽装問題の例「米の産地偽装」過去最大の約4400トン イオンの業者を刑事告発へ偽装米、8割が中国産…イオンは危険な食品だらけ?告発本は即撤去の横暴

阪急阪神ホテルズ元従業員「原価率は10%が上限だった」 あ~あ、火に油を注いでしまった阪急阪神ホテルズの社長記者会見

「看板に偽りあり」はなぜ繰り返されるのか?(後編)/日沖 博道

利用者の不信さらに増幅 JR北海道 レール幅データ改ざん

みずほ銀行 暴力団融資問題 メディアも理解に苦しむお粗末な対応 変われない銀行の実態

ノバルティス捏造論文問題 製薬企業間チェックで不正防止を

こうした偽装の根幹は、要は、利益を確保するために、組織を守るために、偽装したことにある。食材偽装を例に取ると、利益を上げるために、食材費を切り詰める必要に迫られ、その方法として一般客には見分けがつきにくい食材を偽装したということである。

「誤表示」「誤報告」なる釈明の表現も出てくるが、意図を持った誤表記、誤報告は「偽装」以外の何物でもない。見苦しい限りである。こういった言い方自体が社外の人達を馬鹿にしている。すべてが内向きの経営の目であり、顧客第一、品質第一とは名ばかりとしか言いようがない。組織としての責任のとり方も、儀式のように、頭を下げるだけで、トップ自らが責任をとった経営陣の刷新は殆ど無い。いつから、日本は責任を取らない社会になったのだろうか。

いつまでたっても、こうした偽装を起こす体質が改善されなければ、せっかく日本がものづくりの世界で築いてきた品質に対する世界的な信頼そのものが喪失する恐れがある。和食の世界遺産登録どころではない。他国の食品の安全問題を云々できる資格すらなくなる。事は深刻である。

そもそも、こうした偽装の発覚の大半が内部告発によるものであり、組織のコンプライアンス、ガバナンスの機能発揮によるものではない。内部告発があるまで、動かない。言葉を弄して責任を取りきらない。

製造業を中心に品質管理の進んだ日本で、こうした偽装がなぜ無くならないのか。発覚した後に、組織としての責任のけじめが何故つかないのか。最終経営責任者としての経営トップの挟持はどうなっているのか。関わっているそれぞれの専門家の専門家としての挟持はどうなっているのか。

組織としての怠慢、仕組み・マニュアルが現場実態に合っていない、取締役会や監査役が機能していない等々考えられるが、当該組織内部だけでは、偽装に走る根源を断つことは難しいという前提に立つ必要がある。一方で、こうした民間企業の行動に対して、安易に行政による規制強化に頼る方向に走るべきでもない。

とすれば、偽装で被害・損失を被るユーザー側が自らチェック機能を果たすしかない。もういい加減、大手、一流、老舗、行列の出来る店等々、ブランドやメディアに無批判に頼ることをやめるべきではなかろうか。

自ら体質改善できない、責任を取れない経営陣・企業に退陣・退場してもらうには、ユーザー側が動くしかない。その一つの仕組みが、ユーザー側による監視の目ではなかろうか。最終的には、買わない、利用しないという行動をとれば、当該偽装企業がいかに策を弄しようとも退場せざるをえない。

いまは、ほぼ全員がスマフォを持ち、SNSが使える。ユーザー側にもいる専門家も含めて、ユーザー側が品質、評価等に関する情報交換ネットワーク網をつくれば、偽装に対するものすごい抑止力になる。食材で言えば、単に、お美味しいか不味いか、高い安いのサイトはいくらでもあるが、食材の品質に関するSNSサイトはない。いわば、食材のGメン・ネットワークのようなものがあっていい。最近、注目されているマンションの口コミとランキングサイト「マンションノート」のようなものである。

これは、ユーザー自身による第三者評価ネットワークである。こうした仕組みを多様な分野で起こすことがいまや可能である。ユーザー一人ひとりが評価者であり、メディアとなれる時代が来ている。