意思決定のギャップそして責任のとり方

まもなく、1年半を迎えようとしている東日本大震災からの復興はどうなっているのか。せっかくの復興予算も執行が遅れている。福島第一原発事故は、「依然として事故は収束しておらず、被害も継続」している(国会事故調)。東電による損害賠償も遅れている。被災現地とのギャップがある。

福島原発事故については4種の事故調査報告書が出されたが、事故原因は特定できず、責任問題は曖昧なままである。

民間事故調「福島原発事故検証委員会(委員長:北澤 宏一)」報告書、H24年2月28日

東電事故調「福島原子力事故調査委員会(社内)」&「原子力安全・品質保証会議 事故調査検証委員会(社外有識者)」による「福島原子力事故調査報告書」、H24

国会事故調「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(委員長:黒川清)」報告書、H24年7月5日

政府事故調「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(委員長:畑村洋太郎)」報告書、H24年7月23日

この4つの事故調査報告書について、

・事故の直接的原因

・事故前の対策

・事故時の対応

・提言と課題

の 4 つの論点から、比較したレポートとして、国立国会図書館による「福島第一原発事故と4つの事故調査委員会」がある。参考になる。

一方で、政界は、日本再生への道筋を描いたり、領土問題への対処等々、まさに「国の形」をどうするかが問われているにもかかわらず、あいもかわらず政局をくり広げている。政党としてのマニフェストの実行責任、国会としての立法責任、内閣としての政策決定・執行責任は曖昧なまま、加えて違憲状態の選挙区割は棚晒しのままである。大いなるギャップを感じる。

議員定数不均衡訴訟 衆議院小選挙区違憲状態判決(平成23年)

SNS等が普及した時代において、このような有権者と代議士(ひいては政党、国会、内閣)との間のギャップが拡大していると感じている人が多いのではなかろうか。いまや、ITを利用すればそれほどのコストを掛けずに、有権者が直接、社会に対して意志を表明できる。マスメディアが報じない動きを自ら発信することもできる。ソーシャルメディアが従来のマスメディアとは違ったパワーを日本においても持つつつある。

何年間に1度の選挙で、多様な事象に対する意思決定を代議士に委ねることに対する意思決定のギャップが年々拡大しているのではなかろうか。政党の離散集合、選挙の度の代議士の大幅な入れ替え、総理大臣の短命化等はその証左かもしれない。

代議制(すなわち間接民主主義)に対する信頼感が揺らいでいる。このギャップを埋める意思決定の仕組みは何か。国民の叡智(集合知)が問われている。いまこそ、国民一人ひとりが覚悟を持って「決める」しかない。ソーシャルメディアをそうしたプラットフォームとして使いこなしたいものである。