ネーミング

最近、本のタイトル名が変わってきている。かってのサブタイトル的な表現がメインタイトル化している。「結局『仕組み』をつくった人が勝っている」「男の仕事は外見力で決まる」「なぜ、週4時間働くだけでお金持ちになれるのか?」・・・。もちろん、「決断力」「もとめない」・・・と言ったシンプルでシャープなタイトル本もある。

なるほどと思うタイトルに出会うとつい手に取る。タイトルに惹かれて本を買ってしまう。タイトル次第で売れ行きが左右されると巷間言われてが、確かにその通りだと自ら実感する。

従って、あるタイトル名の本が売れると似たようなタイトルの本が続々と出てくる。最近の例で言えば、「女性の品格」「国家の品格」「会社の品格」「男の品格」「親の品格」「派遣の品格」、・・・。「・・・の品格」というネーミングがもたらすいろんなテーマでの出版のイメージを惹起させるのであろう。今年の世相を表す「偽」にまつわるタイトル本ももちろんある。「偽装国家」「偽装請負」・・・。

ある地方の自称「雑学の大家」の方に伺った話によると、焼酎の呼称に「本格焼酎」というものがあるが、これは旧酒税法で「しようちゆう甲類」「しようちゆう乙類」と区分されたとき、「乙」では「甲」に劣るようにとられるので、「乙」ではなく「本格」焼酎という呼称を使用するようになったとのこと。(そのように働きかけ、酒税法で規定されたというのが正しいのでしょうか。このあたりのことについて、正しい経緯をお知しりの方がいたら是非教えてください)

それにしても、「本格」焼酎でない焼酎は何の焼酎なのかと思わせるだけの力のあるネーミングである。おそらく、このネーミングが焼酎ブームを引き起こすのに少なからず貢献したに違いない。この点、日本酒は難しい。いろいろとその製法上の違いが謳われているが、1級酒、2級酒の区分を廃するときに、焼酎のようなネーミングが出来なかったものか。

何れにしてもネーミングのもつ力は凄い。こうしたネーミングの持つ力を社会的な仕組みづくりにも活かしたいものである。

例えば、現在は少子・高齢社会であり、その対応のための仕組みづくりが求められているが、「高齢」社会という言葉には何かネガティブな意味合いを感じるのは小生だけであろうか。「老人」になるともっとネガティブさが濃くなる。それらの言葉には人生に対するアクティビティが感じられない。「長寿」社会という言葉もあるが、これは高齢社会の丁寧語的な表現に過ぎない。

ネーミングあるいはフレーズはそのもたらすイメージを左右し、インパクトを与え、結果して個人の感情・行動、ひいては社会の動きをも左右する。なにか、「高齢」社会に変わる良い言葉はないものか。

例えば、「生涯現役」という言い方がある。これは、日本生涯現役推進協議会の商標登録だそうであるが、これなどはアクティビティを感じる。本格焼酎になどらえると「本格人生」という言い方が出てくる。勢いだけで会社第一に生きてきた50歳を過ぎ、一人の社会的個人として堂々たる真の人生を「本格人生」と呼ぶことは理にかなっている。

「高齢社会」に変わる良いネーミングは何か。皆さん、ご提案ください!