平成23年東北地方太平洋沖地震に遭遇して

未曽有の事態が発生している。進行中である。救出救援活動も懸命に続けられている。

被害を受けられた方々には心よりお見舞い申し上げるとともに、ひとりでも多くの人命が救われることを切に願う次第である。

現時点で分かっている地震等の事実は下記のとおりである。

・3月11日 14時46分、マグニチュード9.0、震度7の巨大地震が発生。

・最大震度は宮城県栗原市震度7宮城県福島県茨城県、栃木県の4 県28 市町村で震度6 強、東京都、神奈川県で震度5 強を観測(気象庁

震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけて、長さ約500km、幅約200km の領域(気象庁推定)

・東京都新宿区で観測された長周期地震動の速度応答スペクトルを見ると、最大で周期30秒程度の非常に長い周期の波が到来(防災科学技術研究所

地震の発生機構は西北西から東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した。GPS全地球測位システム)観測の結果によると、地震の発生に伴って宮城県の河北観測点が東南東に約4m移動するなどの地殻変動が起きた(地震調査委員会)

・本州は2.4m東に動き、地球の自転が百万分の1.6秒速くなった(NASA米航空宇宙局:東京新聞 朝刊)。

気象庁はこの地震を「平成23年東北地方太平洋沖地震」と命名。

 

この地震により引き起こされた10数mの高さの巨大津波が発生。そしてこの津波に因る福島原子力発電所の深刻な事態の発生(これは現在も進行中)。火事も多発(これも一部、現在進行中)。

そして、東京都心部での「帰宅難民」の発生。加えて、その後(3月14日から実施)の東京電力による広範囲の計画停電。しかし、準備不足による情報混乱が一層の混乱を煽る。東北電力も3月16日から実施(予定)。これによる交通機関の間引き・運休による「出社難民」の発生。製造業の休業、生産停止。街中のスーパー等の棚から、米、カップ麺、水(ペットボトル)、卵、単一・単二電池、オムツ類、・・・が売り切れ状態。ガソリン給油所も長蛇の列。道路も渋滞。その中を緊急車両が行き交う。・・・

東日本一体に渡る甚大な被害は、これから被害実態が明らかにされるにつれ、さらに拡大するであろう。電発も予断を許さない。計画停電は少なくとも4月末までは続く見込み。

被災の実態を鮮明に写す写真サイトの中で、New York Timeの地震写真報道サイトは日本のメディアよりも鮮明に実態を伝えている。

被災地の現地写真

被災地の被災前後の比較写真

今回の地震時に、東京近郊に位置するわが家の築30年程の木造住宅(在来軸組工法)も相当に揺れた。たまたま自宅を出る直前に地震に遭遇。長周期の揺れが長く続き、共振でも起こしてそのうち倒れるかと心配したがなんとか持ちこたえた。その後、近くの駅に行くと、今度は大きな余震で工事中の鉄骨の枠組みがギシギシ揺れる。木や鉄は靭性があり、地震力を吸収する。これを利用したのが「制振構造」。話題のスカイツリーも制振構造である。固くする剛性構造は壊れることにより地震エネルギーを吸収するので、数度の揺れに対応できない。

一方で、今回の津波の被災地を見ると、剛性構造の建物・骨組みの一部がかろうじて残っている。木造家屋は基礎だけ残して跡形も無い。立地する場所のリスク環境に応じた建物構造を選ばないといけないということを再認識させられる。

今回の被災に対して、海外のメディアの多くは日本人の冷静な対応を賞賛している。そして、防災技術と防災訓練のおかげで、あの規模の地震津波にしては被害が少なくすんでいると防災先進国としての評価も高い。

しかし、その実態はどうか。冷静な判断・行動をとっているのは一般国民であり、救援者(自衛隊、自治体、警察、・・・)である。問題は、国としてのリスクマネジメントではなかろうか。こうした大規模なリスク対応の準備と覚悟が本当の意味で出来ていたとは思えない場面を度々見せられる。広報能力不足も顕著である。

そして、何よりもこうした非常事態に係る事象(被災・被害事実、国内外の各主体の動き、提言等)を体系的かつ時系列に沿って見える仕組みがない。そこに、情報混乱が起きると不安が拡大する。一刻も早く、そうした仕組みが欲しい。現在だと、WEBサイトが最適だと思われる。

例えば、下記のようなサイトが立ち上がっているが、専門家(群)による智を集めた本格的なサイトの立ち上げが待たれる。

NHK 東北関東大震災関連リンク

みんなでつくる震災被災者支援情報サイト

Google Crisis Respons  東日本大震災(東北地方)太平洋沖地震)

MSN 東日本大震災:東北地方太平洋沖地震に関する情報

Yahoo!天気情報 地震・津波災害に関する情報

今回の被災は日本の底力を試されている。復興にあたり、超長期を見据えた国としてのあり方が問われている。一人ひとりが腹を据えて、住まい方、生き方等、抜本的な変革に取り組まなければならない。そこには、新たな仕組みが不可欠となる。覚悟を持って臨まなければならない。