海路による帰省と海から考える地方創生

今年も例年通り、お盆に帰省した。今年は久しぶりに往路・復路とも、オーシャン東九フェリーを利用した。直前の7月末に、北海道・苫小牧沖で長距離カーフェリー「さんふらわあだいせつ」の火災事故は発生したばかりであったが。

2015年8月1日 カーフェリー「さんふらわあだいせつ」苫小牧沖での火災発生について、商船三井フェリー

オーシャン東九フェリーは、東京-徳島-北九州を結ぶ長距離フェリーで、東京-徳島間は海路650km、19時間20分の船旅となる。今回の船のタイプは全員2段ベッドのカジュアルタイプである。乗船後に、船員に聞くと、船速は約40Km/時とのこと。かって、実験船のTSL(テクノスーパーライナー)で100km/時の早さを体験したことがあるが、この大きさと運賃にしてはなかなかのスピードである。

カジュアルフェリー、オーシャン東九フェリー

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8月9日(日)、14:00過ぎに自宅を出て、川越街道経由で都心を抜ける。休日のためか、車は意外と少なくスムーズに走る。東京港のフェリーターミナル近くの臨港地区内にあるコンビニで夕食の弁当と翌朝用のカップラーメンを買い込み、フェリーターミナルに着き、手続きをする。フェリーターミナルは接岸部の改修工事をしていて、いつもの乗り場と違う岸壁を利用している。

18:00、予定どおり東京港を出港する。東京湾から東京都心の日没を眺める。なかなかの風情である。船内放送で、「台風の影響でうねりが強いと予想されます」の放送が流れている。船の揺れが少ない東京湾内にいる内に、夕食を済ませる。

ほどなく、東京ベイブリッジの下を抜ける。風呂にもはいる。東京湾を見ながら風呂に入るのは、こうしたフェリーでしか味わえない。風呂上がりに、ビールを飲んで、本を読んだり、スマフォでニュースを読みながら、眠りにつく。スマフォは船の位置と陸上部との距離により、電波の強弱が揺らいだり、圏外になる。

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夜が明け、しばらくしていると「本州最南端の紀伊半島潮岬を通過中」との船内放送が流れる。

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こうして、フェリーで陸地側を眺めていると、日本はもともと世界でも有数の海岸線を持つ海洋国家であることをしみじみ痛感する。いま、地方創生が日本の課題とされているが、海側からみた地方創生論はあまり聞かない。それは、かってほど、海路が交通路として利用されなく、海側から陸地部をみること自体がなくなっていることに起因するのかもしれない。

しかし、船ほど、旅と呼ぶに相応しいモノはない。そして、海外にはヨットを始めとするマリーンリゾート地は多い。さらには、海には波が常時発生している。この波の力を活かした波力発電の場として、特に、地方港湾の岸壁と沖合が利用できる。太陽光や風力と異なり、波力は365日24時間利用できる。地方港湾を核とした沿岸域の新たな地方創生の仕組みを推進したいものだ。

大洗港区、波力発電を実証実験 来年2月から装置1基稼働、茨城新聞、2014年8月9日(土)

そうこうしているうちに、8月10日13:20、徳島港に到着。なつかしい眺めだ。

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阿波おどりを見ることもなく、少し早めの露地物のすだちをちぎり、1週間ほどして、帰路につく。8月16日9:30頃、徳島港フェリーターミナル近くのスーパーで昼食の弁当と夕食用のおにぎりを買い込む。そして、11:30徳島港出港。2段ベッドに隣り合わせたシニア夫婦は、旅慣れた様子で、バスケットにワインや食事を入れて持ち込み、窓から海を眺めながらゆったりと食事をしている。良い旅をしている。参考にしたい。

翌日早朝5:20、東京港着。東京は月曜日なので築地界隈は既に車が多い。帰りは、違った道でということで、青梅街道、所沢街道経由で帰る。信号と車が多く、いやになる。自宅に着く頃は大雨。海路往復1,300km、陸路合計300kmのお盆帰省の旅はこうしてあっという間に終わった。