地方の独自性(自立・自律)の壁
地方の自立・自律が謳われて久しいが、地方交付金・補助金制度の下ではなかなか「財政的自立」は難しく、加えて、補助要綱に計画策定規定があり、「政策的自律」の打ち出しにも限界がある。
行政の仕組みに詳しい今井氏の調べによると、この3年間で市町村に対する計画策定を法律で規定している数が40近く増え、2021年2月時点で315となっているとのこと。また、全国知事会の事務局調べ(2019年)では、390件と報告されている。内閣府の2020年12月時点での調査では、市町村に要請されている計画数は全体で288あり、類型別では、「義務」112、「努力義務」50、「できる」127という内訳になっている。いずれにしても、日常の住民サービスをこなしながら、これだけの数の計画を策定する状況下で、地方の特性に応じた独自の政策を立案し実行することは難しいと思量される。
参考:〔研究ノート〕国法によって策定要請される自治体計画リスト 今井 照 自治総研通巻515号 2021年9月号
第1次地方分権改革後の平成 12 年頃から、法令によって地方に計画等の策定を求める規定が増加し、地方分権改革が始まる直前の 157 件(平成4年)から 390 件(令和元年)まで増加した。そのうち約 28%にあたる 109 件が国庫補助金交付等の要件となるなど、財政的なインセンティブを絡めるケースが増加傾向にあり、法令だけでなく、通知等に基づいて計画等の策定を求める事例も存在している。
出典:「地方分権改革の推進に向けた 研究会」報告書 令和2年10月 全国知事会地方分権推進特別委員会 地方分権改革の推進に向けた研究会 全国知事会
内閣府が2020年12月時点での調査を公表している。これは法律の条項単位で詳細なリストが示されている。市町村に要請されている計画数は全体で288であり、後述する類型別では、「義務」112、「努力義務」50、「できる」127という内訳になっている。