「日本のいちばん長い日」を観て

終戦記念日か、敗戦記念日

録り溜めていた「日本でいちばん長い日」(2016.1.6Blu-ray&DVD Release 。テレビ放送2016年8月14日 日曜洋画劇場」を1年遅れでようやくみることができた。お盆に帰省しなかったことと、風邪で寝込んでいたおかげである。

 この映画の主題でもある時代の空気がもたらす「狂気」。なにがこの狂気を生み出したのか。狂気に駆られ戦争に突入させた人間や、狂気でもって多くの国民を犠牲にし、全国を焦土化しながらも戦争を遂行させた人間、等々。その狂気を生み出した責任者、狂気を利用した責任者はいずこに在りや。
戦勝国(連合軍)による東京裁判(極東国際軍事裁判)で日本の戦争責任が裁かれたことになっているが、この裁判自体が国際法違反であるとも云われる。一方で、日本国自身としての戦争責任、敗戦の責任は総括されていない。故に、日本国としての敗戦に学ぶ「失敗の本質」が明らかにされていない。すべて、曖昧なままである。その象徴が、責任感の無い「終戦」という表現である。

 最近の東電、シャープ、東芝、タカタ等における責任の所在・取り方の曖昧さをみるにつけ、責任をとらないことを良しとする大組織において、失敗は許されず、失敗を糊塗し、結果、存亡の危機に至らしめる風潮は現在に至るも連綿と続いている。

国会においても最近の答弁、公文書の取り扱いの恣意的な運用をみていると、ある種の「狂気」を感じる。単に頭を下げ、言いつくろった者が昇進する現在の日本に果たして、こうした狂気に打ち勝つリスクマネジメントができるであろうか。

第二次世界大戦で敗れ、国家としての主権を失い、サンフランシスコ平和条約の発効により、国際法上、この条約を批准した連合国と間の「戦争状態」が終結し、主権を回復し、独立国家となった1952年4月28日が「独立記念日」ではなく、「主権回復の日」として2013年(平成25年)に安倍内閣によって定められた。しかし、このことを認識している国民は少ないのではなかろうか。

そもそも日本の建国はいつなのかは、歴史的に定かではない。現在の「建国記念日」は2月11日と定められている。これは、明治6年に制定された「紀元節」の日付で、日本書紀にある神武天皇が即位したとされる神話に由来する。

戦後72年を経て

そして、戦後72年を経た8月9日、長崎市被爆者代表の要望を首相らが聞く会合の冒頭、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長が首相に要望書を渡す前に、「総理、あなたはどこの国の総理ですか?」と云われ、押し黙ったままの阿倍総理大臣の姿がメディアで流れていた。

あるmailサロンで、「混沌とした閉塞国家日本の国民が、今こそ問うべきは負けるべく戦を何故始めたのか、その責任の所在であり、この総括と反省が為されぬ限り、70年の長きにわたり過去の遺産を継承する指導者エリート層が構築してきた言の葉のすり替えと責任転嫁システムに絡め捕られた国民は、無責任社会というブラックホールに国家は奈落の底へと転落をすることでしょう。」と流れていた。

メディアでも特集的に多くの記事が配信されていた。歴史をきちんと学び、深く考え、今後に向けて何をなすべきか、忘れずにいたい。

終戦の日:歴史を証言する責任 主筆・小松浩 - 毎日新聞