家庭的保育について

高齢者活用連絡協議会のリレー執筆によるブログ「群像シルバーカラー」に「家庭的保育について」というタイトルで投稿(シニア社会ではまだ『ガキ』なので、ニックネーム『ガキ』)した。ご笑覧いただければ幸いである。

***以下、群像シルバーカラー「家庭的保育について」の再掲***

本日(2010年3月23日)の東京新聞朝刊10面に、保育ママの記事が掲載されている。 同じ記事が東京新聞 TOKYO Webでも掲載されている。同じ内容の記事でも、写真入りの視覚的に編集された新聞記事と、文章のみのプレーンなWEB記事とでは受ける印象が異なる。確かに、新聞記事の方が視覚的にわかりやすい。しかし、記事を保存しておく、あるいは引用するという観点からはWEB版が当然ながら便利である。新聞記事は著作権の問題上、そのコピーをこうしたブログ記事に掲載することもかなわないが、WEB版はりンクを貼るだけですむ。このブログ記事中にも、あちこちりンクを張っている。下記のように一部引用掲載もしている。 -----保育ママ増へ 国が制度化 課題はサポート体制充実----- 2010年3月23日 児童福祉法に位置付けられた国の家庭的保育(保育ママ)事業が、四月からスタートする。保育ママ制度は、これまで自治体が独自に行ってきたが、待機児童対策として国が後押しをする。普及が進むのか、現状と課題を追った。 (安食美智子) 「さあ、靴下履いているカードはどれかな?」。横浜市旭区の「すずき保育室」で、かるた遊びをする一、二歳の子ども五人に、同市家庭保育福祉員(保育ママ)の鈴木道子さんが語りかける。 ・・・ 人材確保も課題だ。前出の鈴木さんは「保育ママの休暇は年間二十日が市の規定だが、実際は十日ほどでなかなか休めない。重要なスタッフである補助者の人件費助成を求めていたが、改正法には盛り込まれなかった。保育ママを増やすにはサポートの充実が欠かせない」と訴える。 ----- 記事引用終り ----- 記事の取材先は、横浜市旭区にある「すずき保育室」の同市家庭保育福祉員(保育ママ)鈴木道子さんである。鈴木さんは、「家庭的保育全国連絡協議会」の理事長でもある。高齢者活用連絡協議会が2010年3月3日に主催したシンポジウム「いま、求められる高齢女性が働ける場づくり・仕組みづくり」のパネル討論「高齢女性が創る新たな働き場・職域」のパネリストの一人として登壇頂いた。 このいわゆる通称「保育ママ」制度は、ある意味で珍しい制度である。ある意味とは、自治体が先行して仕組みをつくりあげ、それを国が後追い的に追認制度化してきたという意味である。そして、補助を受けるための認定要件も緩和してきたことである。さらに、横浜市が制度化している保育ママとの連携保育園制度は、組織論的に言えばまさにネットワーク型組織論そのものである。 ネットワーク論的に言えば、冗長性が欲しいところであるが、鈴木さんも言及しているように代替要員の確保がその鍵のようである。つまり、連携保育園制度には施設的保管・代替連携だけでなく、代替要員の登録・プール的機能も組み込む必要がある。この代替要員の確保(プール)は幅広くその人材を求める必要がある。在宅主婦はもちろん、シニア女性が大きなターゲットとなる。団塊世代800万人の過半を占めるパワーを活かさない手はない。 さらに、自治体主導型ということは、自治体により基準・運用指針等が異なることになるが、その際のベースをどこに置くかということが極めて重要になる。より厳しい基準の方に合わせるのではなく、最低限の基準に合わすようにすべきである。行政は訴えのリスクを恐れ、細かく規定するのが常であるが、それではこうした制度は普及しない。 参考になる制度に、「道の駅」がある。この「道の駅」は今や全国の至る所にあるが、その普及のポイントは国交省としては珍しいほど、その設置基準を低くしたことにある。要するに、最低限の駐車場とトイレがあればいいというスタンスである。あとは、設置管理者(市町村)のアイデア次第ということである。結果して、あれほど多彩な形態の道の駅があっというまに全国に展開されることになったのである。いまや「交番」に続き、海外にも展開しようとしている。 保育ママ制度も、それを必要としている形態は多様であり、画一的に押し付けるべきはない。国は、子供を預ける親とそれを預かる保育ママ施設それぞれがリスクヘッジできる仕組み(保険制度をはじめとするソーシャル・セーフティネット)や、保育環境改善のための環境整備補助金等に注力すればいい。過剰な介入・いらざる規制は避けるべきである。この点に関し、さらに蛇足的に言えば、条例・基準等に書いていないからダメというのではなく、ダメなものだけを限定列挙する方式のほうが良い。行政現場の守りの裁量を除外できる。 何れにしても、保育ママ制度は、不足している保育園の補充策の位置づけとされているが、子育てにおける選択肢の拡充策の一環として積極的に捉えたい。今後の健やかな成長を望みたいものである。(ガキ)