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地産地消を考える

Business Model 地産全消 地産駅消 時評 株式会社いろどり 株式会社ロッキー 直販・産直

最近、「地産地消」が新しい意味で注目されている。

「起業家が地域重視フードビジネスに取り組む理由 産業として着実に成熟、地域経済の活性化にも効果的」(BusinessWeek 米国時間2009年12月18日記事)によると、

地産地消型ビジネスに積極的に参入し、地域産の食品の生産・流通に取り組む起業家が増えている。 ・・・ 事業主体は企業や共同組合、非営利団体など多岐にわたる。組織形態は様々だが、地元の事業者がビジネスを運営し、寄付金や政府助成金などに頼らない持続可能な事業を目指している点は、すべての事例に共通している。 ・・・ 地域重視のフードビジネスが、雇用創出や地域経済の活性化など、地域の経済発展に貢献している。

ここまで読むと、「地産地消」でビジネスが成り立つように聞こえるが、実態はそうではない。

同じ報告書で、次のように書いている。

ニューヨーク市の産地直送品販売市場に農産物を供給する零細農家の大半は、この販売市場で顧客を獲得することで、経営が成り立っている。

さらに、同記事は公助に頼らず「自助」「共助」している仕組みに言及している。

多くの小口寄付で資金を集め、地域のフードビジネス事業者を育成するスローフード運動に触発され、米非営利団体スロー・マネー・アライアンスを1年前に創設したウッディー・タッシュ氏は、「社会や経済のあり方として、少数の大組織に依存するだけでなく、多数の小規模な組織が活躍できる仕組みが求められている」と語る。

要するに、地方の消費力だけでは地産の商品の市場としては小さすぎるのである。消費市場は全国に求めるべきなのである。地産商品は地元を超えた市場において、よりその価値を増す。日本におけるそのいい例が徳島県上勝町株式会社いろどり」による草木の「葉っぱ」事業である。あの葉っぱは地元だけを相手にしては成り立たないビジネスである。

「プラチナ構想ネットワーク」を提唱している小宮山宏東京大学総長ものように語っている。

小宮山理事長が成功例として挙げるのが徳島県上勝町だ。日本料理を彩る季節の葉や花を販売する「葉っぱビジネス」は全国区だ。商材が軽く高齢者でも簡単に取り組めるため、現在の年商は2億6千万円。高齢者自らパソコンを操作しビジネス情報を収集。年収1千万円以上を稼ぐ高齢女性もいる。仕事が充実しているためか元気な人が多く、高齢化率は県内トップでも住民一人当たりの医療費は最低水準だ。

そもそも地産地消は、土木事業において使われていた。土木事業の材料となるまさに「土」「木」「石」等の材料はその地場にあるものが適しており、かつ大きく重く輸送負担力がないために、地産地消が基本であった。それが、例えば、砂利一つとっても地元の川の川砂利がなくなり、他川へ、そして海砂へ、さらには海外へとその調達範囲を拡大して行ったのである。地産がなくなり地消地産が維持できなくなったのである。

一方で、農業においては、農協/JAが中心となり最初から全国(大都市中心)の市場をターゲットにその生産・流通の仕組みを造り上げていった。しかし、都市部の消費市場はその規模ゆえ、日本国内を超えて世界から調達することになり、農協/JAモデルはグローバル競争化において競争力を失い、農業という業態自体の衰退を招いている。

ここに改めて現在的意味での農業における新しい地産地消型ビジネスモデルが芽生えつつある。そのひとつの例が、熊本の生鮮スーパー「ロッキー」である。ロッキーのリクナビを見ると次のように書いてある。

安さのヒミツ:ロッキー商品の安さのヒミツを1つ挙げるならば、生鮮コーナーの直販野菜コーナー。こちらの在庫管理、陳列、値付、実は生産者である農家の方々が行っています。 最新のシステム導入により、携帯電話で農家の方がリアルタイムで在庫の数を把握し、値付、陳列を行う事により、そこにかかる人件費等、大幅なコストダウンが可能になりました。 加えて、生産者がはっきりした野菜、果物ということで、安全・安心・新鮮さも保たれています。

ここに記載されている生産者による「直販コーナー」。最近の新しい地産地消のスタイルである。ローキーは生産者にコーナーを提供し、生産者は消費者に直接、接するわけである。この仕組みについて、日経ビジネスONLINE2009年5月8日(金)記事において、宮田秀明氏は次のように紹介している。

「ロッキー」の「地産地消」のビジネスモデルは注目に値する。小売流通業はもっと原点に戻ることが正しい方向だと示唆しているようでもある。 ・・・ 「ロッキー」は主に肉、魚、野菜の生鮮3品を扱うスーパーマーケットである。十数店ある「ロッキー」の店舗へは、毎日、生産者が直接納品して値段をつける。普通の市場へは出荷できない不揃いのミカンを10個パックにして100円の値札を付けたりもする。 ・・・ 顧客は、「ロッキー」の店舗で生鮮3品を買っていく。だから、完全なワンストップのモデルなのだが、主役は小売流通業者ではない。生産者と顧客が主役であって、小売流通業者である「ロッキー」は、単に店舗の場所を提供しているに過ぎない。 ・・・ 生産者にとっては、農協や市場、流通業者や大手スーパーマーケット業者などたくさんの中間業者を経ることによって、買い取り価格を抑えられてしまい、利益率が低かったのに、「ロッキー」のビジネスモデルで高い収入を得られるようになる。 ・・・ 生産者と消費者を双方向でつなげるような小売流通のシステムを使う企業が生き残っていくのだろう。

この産直コーナーを全国版に拡大したのが、WEBによる通販(いわゆるEコマース)である。ある地方の食品卸業の方に話を伺ったときに、「ECで販路が拡大できるのならありがたい。地元での消費は限られている」と語っていた。

この土木と農業の中間のような存在が林業である。住宅等に使われる木材も勝手は地産地消であったが木を切りすぎたこと、需要が供給を上まったこと等もありその多くを海外に依存することになったが現在はどの国も原木での輸出を抑制している。こうしたときに、国内の植林による木が育ち供給できる状態になり、改めて地産というよりも国内産木材の国内消費が重要なキーとなってきている。

最近では、エキナカでの消費をターゲットにした商品開発をする「地産エキ消」なる形態も現れていると言う。

結局、生産者と消費者のダイレクト接点が重要な意味を持ち、価値を生み出すということであり、その仕組みを現地・現場にあった形でどのように創り出し廻していくか、ということに尽きる。改めて、ビジネスの原点が、その本質が問われている。