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RAILWAYS 身につまされる第二の人生への入り方 そしてどう生き切るか

2011年11月11日、雨が降り寒い中、「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」の試写会(於:有楽町の「よみうりホール」)に行ってきた。主人公と同じ59歳、主人公の妻の元職業も同じ。主人公が最後に運転する車両が元西武鉄道のレッドアロー号で、主人公が研修する新人運転手の出身地が所沢市という設定。所沢に住み、同じく第二の人生の分岐点に立つ夫婦にとって、まさに身につまされる映画であった。ホール内も第二の人生間近な方、既に第二の人生に入っている方が多かった。

12月3日から全国ロードショー公開される予定であるが、それに先立ちこの映画のロケ地であり、出資者にもなっている富山市では11月19日から先行公開されるとのこと。

前作『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』でロケ地になっった一畑電車の映画公開後の営業成績が前年同期比8.7増となったことを受け、今回のロケ地になった富山地方鉄道の地元である富山市が協力ではなく、地方振興の一貫として「RAILWAYS2 製作委員会」に投資(出資比率5%)したことでも話題を読んでいる。

作ったあとの維持費に苦労する箱モノに投資するより、こうしたソフト(映画制作)に投資する方が後年度負担がなく、リスクが限定的である。映画づくりは地元の人の眼を超えた視点で地元を捉え直すいい機会であり、新たなストーリーの創出であり、地元の人にとっては意識的な面での脱皮の機会ともなる。これは別の表現をすれば、一種のオープンソリューションである。加えて、映画がヒットすれば、その効果(人の意識への刷り込み)は長く続き、配当以外の投資効果(便益)も高くなる。地方の投資の仕組みとしてなかなか面白い試みである。

さて、映画の話の中身について言及すると、定年を控えた仕事人一筋の鉄道運転士が定年を前に、定年後の生き方において、夫の定年退職後は自らがもう一度看護師として働きたいという妻との思いのギャップに気づかずいわゆる熟年離婚するというものである。熟年離婚の手続きをしたあと、定年退職日に改めて二回目の結婚を申し込むというストーリーになっている。妻に家を出られた夫のうら寂しさがにじみ出ている。

その背景には、妻の子育てが終わった後の再就職を妨げることになった親の介護問題、夫婦間でのコミューケーションレスの問題、そしてリタイアしたあとの長い人生をどう生きていくかという問題等々、現在の日本の状況を反映した背景となっている。本格的にリタイア時期を迎えた団塊世代800万人及びその直後の世代にとってはこれからまさに現実化するシーンを先行描写した映画となっている。いろいろな意味で身につまされながら考えさせられる映画である。

あまり派手さはないが、日本映画らしいなかなかいい作品である。この世代と同じ松任谷由実の音楽もいい。ぜひ、第二の人生に思いを巡らす人は見て欲しい。鉄道マニアにとってもたまらない映画であろう。地方の活性化を考えている人にもその映画づくりの仕組みと効果を知るにはいい映画である。

【追記】

このブログを書いた翌日、高齢者と映画の関係の記事を見つけた。東京新聞こちら特報部」の記事である。 田んぼdeミュージカル委員会の話である。「現場では『撮影が終わるまで葬式を出すな』が合言葉」とのこと。 デスクメモは「ここには民衆史の結晶が描かれている」と締めくくる。

第1作「田んdeでミュージカル」 第2作「田んぼdeファッションショー」 第3作「いい爺いライダー・The Tanbo」 そして、今回の最終作となる第4作目「赤い夕陽の爺yulie(ジュリー)」

「カンオケよりカンヌ!」 北海道穂別の高齢者映画集団、4作目は「電力利権」もテーマに 2011年11月13日 10年前から自主映画をつくり続けてきた北海道むかわ町穂別地区(人口約3600人)の高齢者たちが、最終作となる4作目を完成させた。福島原発事故前に着手していたが、くしくも「電力利権」がテーマのひとつ。福島県南相馬市でも上映した。出演者の平均年齢は78歳。「今回で終わり」と言いながら「カンオケに入る前に、カンヌ(映画祭)に行くべ!」と驚異のパワーをさく裂させている。 (出田阿生)