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新年のご挨拶を兼ねた思い

新年明けましておめでとうございます。

元旦の実業団のニューイヤー駅伝は、新人の佐藤悠基が頑張った日清食品グループが初優勝した。2日、3日の箱根駅伝は、山登りの5区で去年に続き区間新記録をマークした柏原竜二を擁した東洋大学が2年連続優勝した。

2日は、全国大学ラグビー選手権の準決勝2試合が行われ、東海大帝京大が勝ち、ともに初優勝をかけて10日の決勝に進んだ。両校とも肉体強化の成果はすばらしく、技以前に基礎体力で他校を圧倒していた。

3日のアメリカンフットボール日本選手権のライスボウルは社会人チャンピオンの鹿島ディアーズが第4クォーターの修了間際のFGで関西大学カイザースを破り優勝した。昨年暮れの12月21日に行われた日本社会人選手権「ジャパンエックスボウル」鹿島ディアーズを東京ドームで生で見ていただけに感慨ひとしおだった。

とにかく、元旦からの3日間、朝早くから駅伝、ラグビー、アメフトと眠い目をこすりながらお酒を飲みながらテレビ観戦に明け暮れた。スポーツ好きにとってはたまらない3日間である。

何れのスポーツにおいても、一人のエースだけでは勝てず、エース以外の全体の底上げが優勝には不可欠であることを証明していた。そして、そうした流れをつくりサポートするのが監督・コーチである。全体の底上げがあってこそ、チーム力(組織力)がアップし、エースがエース(切り札)として機能し、結果して勝てるのである。一般社会においても同じではなかろうか。

世界はグローバル化し、サービス提供コスト(賃金体系)はグローバルレベルでの最低コスト国の水準にコンバージェンス(収斂)し、市場価格は供給者から需要者(消費者)主導による低価格化の流れになっている。グローバル化に伴う構造的なデフレである。

日本の場合は、これに加え、これまでの法人需要による一般市場価格の二重価格構造(典型的には接待市場における高価格構造)、官需における価格の高止まり等の崩壊による価格の適正化や、製造小売り・通販・WEBオークション等の流通革新による従来の価格形成過程の崩壊等により、デフレが増幅していると考えられる。

日本のグローバル企業はそうした流れに乗らなければ生き残れない。当然、日本企業といえども、国内での雇用にはさほど貢献を期待できない。主たる雇用は海外で発生するのである。国内雇用(特に地方の雇用)の中心は、国内での消費者向けの地場産業(代表的には、農林水産業、建設業、医療・福祉・介護サービス業、観光業等)にしか期待できない。地方に工業団地を造って誘致する時代はとっくに過ぎ去っている。

もはや、国内に留まる限り、全ての局面に於いて「右肩上がり」の状況を期待することはできない。右肩上がりするのは、高齢者とそれに伴う社会保障費ぐらいなものであると覚悟する必要がある。こうした時代における成長・発展とは何か、「成長・発展」の概念を変える必要がある。

社会保障給付費の分類1.ILO定義   ? 高齢(老齢年金、介護保険給付等)   ? 遺族(遺族年金等)   ? 障害(障害年金等)   ? 労働災害労災保険等)   ? 保険医療(健康保険等)   ? 家族(児童手当等)   ? 失業(雇用保険等)   ? 住宅(生活保護の住宅扶助)   ? 生活保護その他(生活保護の諸扶助費) 2.日本の場合   ? 医療(医療保険、老人保健の医療給付、生活保護の医療扶助、労災保険の医療給付、結核、精神その他の公費負担医療、保健所等が行う公衆衛生サービスに関わる費用)   ?年金(厚生年金、国民年金等の公的年金、恩給及び労災保険の年金給付等)   ?福祉その他(社会福祉サービスや介護対策に関わる費用、生活保護の医療扶助以外の各種扶助、児童手当等の各種手当、医療保険傷病手当金労災保険の休業補償給付、雇用保険の失業給付)

要するに、現在の日本社会は、従来的概念の下では閉塞感に満ちている。グローバルなポジショニングにおいて日本の存在感が薄れている。企業活動も内部統制が過ぎ、エネルギーが外に向かわず萎縮している。誰も積極的にリスク(=チャンス)を取りに行かない。明らかに、将来に向けての日本社会の基礎体力というか基礎エネルギーが全体として低下している。

いまこそ、日本社会としての基礎体力、基礎エネルギーの底上げを図らねばならない。新陳代謝(人間の身体は3ヶ月もするとまったく新しく生まれ変わる)を活性化しなければならない。

その根本が、人間に例えるならば細胞に当たる「個人力」の活性化である。個人力のアップではなく、あえて「活性化」と言った意味は、日本の個人力はいまでもそれなりのレベルにあるが、その個人力が社会において発揮できていないところに問題の根っこがあると考えているからである。

これまでの日本は中央集権的構造体制にあり、個人よりも統制的組織を優先してきた。従って、社会経済活動の仕組みも組織を前提とした仕組みづくりが優先されてきた。従って、組織を離れ、個人となった瞬間に組織が有していたセーフティネットや様々なフリンジベネフィットを喪失する。当然、個人は組織を離れない。個人として有能な人材が大組織を中心にロックインされた状態になっている。これでは、新しい成長産業への人材のシフトは生じない。

アメリカでは、市場構造の変化に応じて、優秀な人材がごそっと動く。例えば、宇宙産業の市場がしぼめば、先進技術を持つ専門家が集団で次の新しい市場をターゲットにした産業に移る。若者も既存産業ではなく、これからの成長市場(IPOできる)と見込む事業を立ち上げる。投資家もリスクを取りつつそれを支援する。新たな産業の勃興である。この辺の動きは極めてダイナミックである。

さらに、これまで新しい商品・サービスに普及過程は、まずは法人に利用され、それが一般個人にも使用されて初めて普及したと言われていたが、最近のITの世界はまずは先進的な個人が使用し、その評判が一般の個人にも波及し、それを受けて法人が組織としての利用を考えるという流れに逆転している。

リスクマネジメントの世界では、平時と非常時のシステムの切り替えが肝要とされるが、現在はまさに非常時であり、価値観を切り替え、事に当たらねばならない。非常時には全ての事象が起こるべくして起きていると受け入れる必要がある。そして、そのようなものを受け入れて出来上がる次の新しい段階の平時のシステムは、従前の平時のシステムとはおそらく全く別物になるであろうことは想像に難くない。要するに、従前のシステムの改善ですむ話ではなく、新しい価値観に基づく全く新しいシステムの創造というレベルでの対応が要請されているのである。

個人が個人として自律し活躍できる新しい仕組みづくり/システムづくりへの道筋をつける一石を投じたい。これが今年の年頭に当たっての思いであり、皆様のご支援を頂きつつ実現したいと願っている。

本年も宜しくお願い致します。