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「商標登録願」提出の顛末

先頃、特許庁に出向き、商標登録を出願した。

ある事業を立ち上げるために、そこで使用する名称を商標登録することにした。1枚程度の書類なので弁理士の手を煩わせることなく自ら手続きをすることにした。弁理士費用の節約ももちろん兼ねているが、一度は自分で経験しておきたかったためである。

さっそく、WEBで色々検索してみた。特許庁独立行政法人「工業所有権情報・研修館」 等々

しかし、わかりずらい。これははっきり言って、プロ相手(弁理士等)のシステムと感じた次第。個人が自ら確認するにはわかりずらい。

国税庁「確定申告書等作成コーナー」とは大違いである。この確定申告書作成システムは官庁提供のシステムとして秀逸である。非常によくできている。ドキュメントによる説明資料よりもはるかにわかりやすく、素人でもシステムのガイダンスに沿って入力していけば確定申告に必要な提出書類が自然にできあがるのである。実際の記載事例もあり、自分の記載の仕方を確認できる。

然るに、上記の特許庁関係のサイトには、様式の説明はあっても、実際の記載例が掲載されていないため、記入が本当に正しいのかどうか確信が持てない。不安をぬぐいきれない。また、商標等の検索をしようにも検索入力の仕方がこれまた、わかりにくい。

この検索入力については、国立情報学研究所(NII)が提供しているCiNii(学協会刊行物・大学研究紀要・国立国会図書館雑誌記事索引データベースなど、学術論文情報を検索の対象とする論文データベース・サービス)が参考になる。

先日、あるシンポジウムで聴いたこの研究所の研究員(準教授)の話によると、このサイトも従前はプロ向き仕様で検索入力画面が難しかったが、素人向けにそのユーザーインターフェースを徹底的に洗い直し簡素化したところ、アクセスが急速にのびたということである。やはり、ユーザインターフェースは重要なのである。

いずれにしても、ようようの思いで「商標登録願」なる様式の1枚ものを作成したので、確認のため、独立行政法人工業所有権情報・研修館」の相談部に電話とmailで問い合わせをした。

 問い合わせ先のmailアドレス:PA8102@inpit.jpo.go.jp

ここで分かったことは次の4点。

1.商標登録する際に、「ロゴ」ではなく「標準文字」で行う場合、全角文字と半角文字の区別はないので、どちらか一つでの表示でOK。

2.【商標登録を受けようとする商標】の記載枠が「8cm四方」ではなくても問題ない。だったら、そのように書いて欲しい。

3.新しい概念のサービス(役務)に使用する商標の場合、役務内容をどう記載すべきか、あるいは対応する区分をどう考えるべきか等については、形式事項ではないので、問い合わせ先は特許庁商標課国際分類管理室になる。

4.郵送での申請において、受領確認を希望する場合は、商標登録願のコピーと返送用封書を同封すれば、それに受領印を押印して返送する。

要するに、独立行政法人工業所有権情報・研修館」は形式的なことしか対応しないということである。形式的なことであれば、上記のようなことも含めてもう少し申請者側の立場でWEBに記載しておけばすむ話である。

そこで、特許庁商標課国際分類管理室にmailと電話にて相談する。この室の担当者が想定していた以上に親切に対応してくれた。これはありがたかった。ここで分かったことは次の2点。

1.商標登録はあくまでも有料で提供するサービスを守るためのものであり、無料サービス対応(役務)には商標登録は不要である。しかし、知財高裁ではそうした無料サービスにも商標法上の指定役務と拡大解釈する裁決事例もあるとのこと。従って、どの範囲にまで指定役務として出願登録するか否かは申請者の判断による。

2.また、指定役務の記載表現において、その役務内容が曖昧ではなく個別具体に特定できるように記載する必要があるとのこと。そして、その記載内容によって、役務区分が決まる。そして、指定役務と指定役務の間の句読点は「、」ではなく「,」。この最後の句読点の違いの意味はよく理解できないが、形式事項ならば、工業所有権情報・研修館」の相談部で指摘があって然るべきか。

何れにしても、特許庁としての運用と、裁判所での判決未確定の状況下での微妙な状況が伺え参考になった。

ということで、申請書類が確定したので、特許印紙を購入し郵送しようと郵便局に行く。ところが、近くの郵便局では特許印紙を扱っていないという。がっくり!

独立行政法人工業所有権情報・研修館」のホームページにあった「主な郵便局」とはどのレベルの郵便局だ! と怒りたくなった。仕方がないので、直接、特許庁に行って提出することにした。

特許庁に行くとその2階に独立行政法人工業所有権情報・研修館」があることに気づいたので、特許印紙を貼る前に念のため、その相談窓口で提出する書類の現物を最終確認してもらう。特に問題ないとのこと。

しかし、ここで教えられたのは次の3点。

・商標登録願の事項の【 】と(【 】)の違いは、( )がある事項の箇所は不要な場合は省略可。( )がついていない事項は基本的に記載が必要。

・【整理番号】は、複数出願でない場合は省いても大丈夫であろうが、出願後のやりとりはこの整理番号で行う(商標は記載されない)のでこれがないとどの出願か識別がしにくくなる恐れがある。

・申請者の代表者印(登記印)は文書の文字に重ならないように押印すること。電子化するとき、押印された印影を読み取るが字と重なっていると印影が読み取れなく恐れがあるため。

・早期審査は2ヶ月ぐらいでできるが、その際は申請した指定役務が全て実際に実施されていることが条件となる。つまり、急ぐときは、実施している役務にのみ絞って出願することになる。

これも形式事項であり、やはりWEBにきちんと記載しておけばすむ話である。

こうして、確認をとった後、1階にある印紙販売所で「特許印紙」を購入して出願書に印紙を貼った。ところが、この印紙を貼るときに、印紙代金の記載箇所の上に貼ってしまったため印紙代金の記載がない(見えない)との指摘を受ける。一瞬焦るが、手書きで見えるように追記すればOKとのことで追記。これで正式に出願完了。持参した商標登録願の写しに受領印を押印してもらい手持ち保管。あとは秋まで手続きを待つのみ。途中、拒絶がなければ。

弁理士に依頼して出願している時には気づかなかったことが、一度実際に自ら出願して色々分かった。何事も、やはり、一度は自分でやってみるべきだ。仕組みがよく分かる。