同窓会の新たな機能 〜セーフティネット機能〜

最近、企業の寿命が短くなってきている。

倒産はもちろんであるが、倒産しなくてもM&Aで吸収される側の企業は消滅する。そして、倒産まで行かなくても事業縮小に伴うリストラもある。大企業・グローバル企業は市場を求めて海外に活動拠点をシフトし続けていくしかなく、国内雇用は優先事項ではない。

【会社の寿命】今や"寿命"はわずか5年 日経ビジネスONLINE 2009年10月24日   情報化やグローバル化の波を受け会社の寿命は短くなっている。 メーンバンクや政府の保護はなくなり、勝ち負けが鮮明になる。 激しい変化を乗り越えるためのカギは、環境への適応能力だ。 提携誌のビジネスウィークが毎年実施する時価総額ランキング「グローバル1000」を基に米国企業を分析すると、上位100社の平均滞在期間はもっと短く、平均で5年を切った。情報化の進展などで日本はいずれ米国に追いつくと仮定すると、適者生存の競争は一段と激しくなり、「会社の寿命(盛期)5年」時代も見えてくる。 82年、本誌は売上高や総資産を基準に企業の寿命を調べ、「会社の寿命30年」との結論を出した。時代は変わり、売り上げや総資産は企業の盛衰を表すモノサシとして注目されなくなった。というのも、巨額の赤字を垂れ流し、瀕死の状態にある企業でもランキングのトップになる場合があるからだ。時価総額は「会社の値段」であり、将来性を含めた企業の実力を示すモノサシとして有効だ。

一方で、人の寿命は延びている。「個人」の寿命が「企業」の寿命よりも長くなっている。つまり、これまでのように人生を企業に預けきることはできなくなったということである。「企業」年金だって、GMJALに象徴されるように企業の存続次第である。いまや「組織」を前提にしない「個人」を前提にした仕組みを考えるべき時代に来ている。

さらに、いまや、政府による保護・育成、つまり参入規制や補助金や官需に守られるいわゆる「公助」の時代ではない。「公的」年金もあやしい。そして、大企業を守っても、国内雇用には直接的には結びつかない。国内雇用創出には、地方に根を張り生きている中小企業、地場産業の存在が鍵となる。

このような状況下において、人は働くことのセーフティネット機能をどこに求めうるのか。その有力な選択肢の一つが大学の「同窓会」である。大学の同窓会は独立した任意団体として活動しているところもあるが、最近は大学自体の大事な機能であるとして大学の組織として位置づけようとする流れが主流のようだ。

何れにしても、大学の同窓会が「個人」が「自律・自助」することを支援する「共助」の受け皿としてきわめて有効な存在になってきたといえる。特に、就業・事業のセーフティネット機能を同窓会が果たすことは新しい社会的機能として大いに考えるべきであろう。

この同窓会に就業・事業のセーフティネット機能を持たす具体の仕組みについては自ら実践してみたいと思っている。