「シルバー社会」を超えた社会へ

今年初めて「シルバーウィーク」なるものが出現した。春の「ゴールデン」ウィークに対して、敬老の日が含まれることに因んで旅行代理店そしてマスコミが「シルバー」ウィークと呼んでいるようである。

しかし、「シルバー」では何となく「ゴールデン」より劣る感じがする。「シルバー」の持つイメージを嫌がる人も少なくないようだ。「プラチナウィーク」の方が良いのではなかろうか。高級感もある。特別感もする。この大型連休が次に出現するのは2015年であるが、そのときには「プラチナウィーク」と呼びたいものだ。

ふと、以前このブログでも書いた焼酎の甲類、乙類という税法上の分類表示のことを思い出した。「乙類」では何となくイメージが悪いので「本格焼酎」という通称を考え出したということであった。「ゴールデン」に対抗できるのは「プラチナ」しかないのではなかろうか。

さて、プラチナウィークの「敬老の日」に合わせ、総務省が9月20日発表した統計調査によると、15日現在で65歳以上の高齢者人口の比率が22.7%に達した模様である。

女性の4人に1人が高齢者 総務省推計        2009年9月21日 09時07分(共同)  「敬老の日」に合わせ総務省が20日発表した統計調査によると、15日現在で65歳以上の高齢者人口は昨年より80万人増の2898万人、総人口に占める割合も0・6ポイント増の22・7%と、それぞれ比較可能なデータがある1950年以降で過去最高を更新した。中でも女性は初めて65歳以上が25%を超し、4人に1人が高齢者となった。  高齢者人口は2005年の国勢調査を基に推計した。女性は1659万人で女性人口の25・4%、男性は1239万人で男性人口の19・9%。年齢層別では、70歳以上は前年より44万人増の2060万人、80歳以上も39万人増の789万人となっている。  65歳以上の高齢者がいる世帯は08年10月現在で1821万世帯と、全世帯の36・7%を占める。このうち414万世帯ではお年寄りが単身で暮らしており、統計を取り始めた1983年の98万世帯に比べ4・2倍と大幅に増加した。  また、こうした単身世帯の3分の1を超す145万世帯はアパートなどの共同住宅に居住。誰にもみとられずに自宅で亡くなる「孤独死」などが社会問題化する中、地域ぐるみで生活の手助けをできるような態勢づくりが、これから課題になりそうだ。

もっと詳しくデータをみて確認してみたいとソース元の総務省のホームページを探してみたが発表資料が見あたらない。平成20年度のデータ(平成21年版高齢社会白書)しか見あたらない。マスコミの記者の記述(あるいは総務省の発表資料記載コメント)が正しいのかどうか、これではチェックできない。そして、こうした分野に関係している研究者は最新の生データを欲しいと思っているはずだ。

WEB社会においては、行政情報(特に事実情報データ)はダイレクトに国民に開示する仕組みに変えるべきである。マスコミ(の編集を・編纂)を通じて国民に流す必要は全くない。プレス発表と同時に同じ資料、生データをWEB開示すべきである。それがWEB社会のやり方ではなかろうか。白書化等は役所の都合による後付け的解説資料であり、別にスピードは問われない。白書を出すなら、決算白書を出して欲しい。民間企業でいうところの決算報告書+事業報告書である。時代は変わっている。国民への情報の開示の仕方も変えるべきである。

ところで、国連の報告書で使用され流布したとされる高齢化比率の水準による区分として次の三段階が一般に言われる。(注:オーソライズされた定義ではない)

 高齢化比率  7%〜 :「高齢化社会

 高齢化比率 14%〜 :「高齢社会」

 高齢化比率 21%〜 :「超高齢社会」

日本の高齢化比率は平成19年に21%を突破し、以後着実に上がっている。本格的な超高齢社会時代の到来である。

 平成19年 21.5%

 平成20年 22.1%

 平成21年 22.7%

超高齢社会は孤独化の時代でもある。こうした中、少子化が進んでいる。このような人口構造・人口動態の流れの中、従来通りの考え方・仕組みでは「日本は衰退する」そして「地方はもっと早く衰退する」と悲観的にならざるを得ない。しかし、そのような状態になるのを座して待つということでいいのか。少子・高齢化という超先進国になることの結末がこれでいいのだろうか。なにか違和感を覚える。少子・高齢化社会なりの持続的成長の仕組みを組み込んだ次世代の社会システムモデルを生み出すのが超先進国日本の責務である。

それでは、少子・高齢化社会における持続的成長のエンジン、仕組みとはいったい何か? やはり、エンジンは「マネー」であり、仕組みとはその「マネー」が廻る仕組み(金融を含む仕組み)であろう。

マネーが流れなくてはことが始まらない。マネーが流れるところに人々の注目が集まり、実際に人が集まり、情報が集まる。活性化する。従って、少子・高齢化社会であっても、地方社会であっても、とにかくマネーの流れを生み出すことが「衰退」を止める唯一の策である。

では、どうやって、金の流れを起こすか、そして、その流れをどうやって持続させるか。

それには、金融市場に劣らぬ魅力あるマネーの運用先・投資先を実態社会(少子高齢社会空間、地域社会空間)に生み出すか、グローバル金融市場で流通するグローバル・マネーとは切り離したローカル・マネー(地域通貨、コミュニティ通貨、補完通貨)を発行・運用するかしかない。もっと言えば、この二つを組み合わせるというのが唯一あり得る道かもしれない。

現在は超低金利である。この金利以上のリターンを生み出せば金は流れてくるので、かっての高金利時代に比べればまだやりやすい。これまでの低金利策は金融機関(の救済・維持)のためにあったが、これからは実態活動主体のために活用するように仕組みを考えればよい。

その際のキーコンセプトとして「ユニバーサル社会」「ダイバーシティ(多様性)」・・・が挙げられよう。そして、その仕組みを少子高齢化の超先進国モデルとして海外に移植・展開していくことで日本が主導権を持つことができる。

グローバル社会において、マネーは実社会における生活に関係なく流通し、その加速度・流通量は自ずと増していく。当然、限界があり、ある極限にくると一気にクラッシュする。クラッシュの波紋が収まるとまた同じことを繰り返す。金融は出口(運用先、投資先)が重要であり、魅力ある出口が実社会にないが故に、出口と入り口が金融市場内で直結することになる。「金が金を生む」ということだ。

このあたりについての具体的な仕組みについてはいま構想中であり、何れ明らかにしていきたい。