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制度疲労とギャップ

Business Model History News 提言 時評

40歳代半ばを過ぎた人のその後の生き方においては、個人としての生き様が問われる。しかし、日本の就業・雇用環境あるいは仕組みは自律した個々人を前提としていない。組織に帰属していることをを前提として全ての制度設計がなされている。

結果として、組織を離れるといろんな意味でのフリンジベネフィットがなくなるため、組織に居続けることになる。人材のロックインが起きる。

一方で、シニアの働き方も限定的でしかない。行政主導で65歳雇用延長、さらには70歳まで雇用延長の旗振りがされている。しかし、人の才能、存在価値は20歳前後から70歳までひとつの組織でしか発揮し得ないのか。そのような前提で制度設計が進められていいのか。そんなことはない。40歳半ばからはまた、新たな場でのチャレンジをしていくのが本人にとっても、社会にもいいのではなかろうか。

しかし、世の中の制度設計がそのようになっていない。実態と制度にギャップがある。制度疲労である。社会全体としての大いなるミスマッチである。プレシニア及びシニアが太宗をなす現在及び今後に向けて、前提条件の見直しから含めて抜本的な制度設計が必要である。

そういえば、この7月1日より、37年ぶりに「電気使用制限令」(一般的には、電力使用制限令と言われている)なるものが発令された。契約電力500kWの大口ユーザに対して、昨年の夏の1時間当たりの最大電力使用量から15%削減するように制限するものである。

戦時下の昭和16年10月、電力国家管理法により「電力統制令」が施行されているが、その残滓がまだ「電気使用制限規則(経済産業省令)」として残っていたのである。さらに今回の制限令の発動は、原発(行政)の維持の思惑があることを否定しきれない。

電気使用制限等規則(平成二十三年経済産業省令第二十八号) 使用最大電力の制限に係る経済産業大臣が指定する地域、期間等(平成二十三年経済産業省告示第百二十六号) 電気使用制限令は、要するに、年間最大ピーク電力の15%の節電を強制するものであるが、本当の資本効率を考えると最大ピークにあわせた設備投資がそもそも正しいとは言えない。ピーク時以外に大半の時間は過剰投資となる。例えば、高速道路の設計計画交通量は年間で30番目に多い日交通量を前提に設計する(現在の設計基準がどうなっているかは未確認)。つまり、年間30日間ほどは渋滞が発生するが我慢してくださいということである。とすれば、電力供給サービスがそもそも過剰品質であり、過剰品質を前提にした産業構造自体もこの意味ではおかしい。

何れにせよ、資本主義・市場経済下における経済統制が本当に許されるのか。電力事業者と需要家の間でのサービスレベル調整、価格調整に任せられないのか。任せると何か不都合があるのか。経済界から表立って反対の声はない。楽天の三木谷社長が、経団連から脱退したぐらいである。国会はそれどころではない。政局に忙しそうである。

どこかおかしい。いろんな場面で、ギャップ(制度疲労)が生じている。仕組みの見直しが不可避である。制度設計の当事者・影響者(国会、政府、財界、労組、マスコミ等)にその意識が希薄な中で、どうするか。群衆智・集合知のレベルを上げ、自律した個人を増やし、発信し続けるしかない。