2010年10月12日から13日にかけて、奈良、京都を散策した。10月中旬というのに、27~28度もあり、暑かった。しかし、ちらほらと紅葉の兆しが見えなくもなく、秋と言うには微妙な時期であった。
奈良路
火曜日(10月12日)、神戸のホテルから、8:20発のシャトルバスで三宮駅に行き、阪神電車で奈良に向かう。しかし、関東の人間にとって、関西の場所の案内システムが関東とは異なるので分かりにくい。案内の仕組みづくりの発想の違いはどこから来ているのだろうか。
10時前に近鉄大和西大寺駅で降り、平城遷都1300年祭(会期:4月24日~11月7日)の会場に行く。駅からシャトルバスが出ている。ライド・アンド・バスシステムである。供用前の道路の一部を発着場に転用している。いいアイデアだ。その昔(1988年)、奈良シルクロード博の交通対策でパーク・アンド・ライドシステムの計画をしたことを思い出す。あの当時よりは、道路事情がいいようだ。
何もなかった平城京跡に、朱雀門と第一次大極殿が遺構に沿って建てられている。まずは、朱雀門をみて、第一次大極殿を見通す。その距離は約800mあり、このスケール感はすごい。と、感心していると、その間を近鉄電車がしきりに通過する。雰囲気が壊れる。
朱雀門から、第一次大極殿に向かって歩く。距離もある中、暑いので結構疲れる。大極殿に近づくとその前庭が工事の塀で囲われている。大極殿にあがり、中を覗い、朱雀門の方を見る。工事のクレーンやテントが邪魔をする。何の工事かと思いきや、先日(10月8日)、天皇・皇后両陛下をお迎えして催された「平城遷都1300年祭記念祝典」用に設営された会場施設の解体工事とのこと。解体工事を眺めながら、いろいろ考えさせられる。
第一次大極殿近くでの演舞
完成したばかりの第一次大極殿
鑑真大和上によって創建された唐招提寺の金堂(国宝)は昨年秋に「平成の大修理」を終えたばかりで是非見たかったところである。その解体修理はテレビでも放映されていたが、見事に元の姿に戻っている。木組み構造物の良さがここにある。コンクリート構造物ではこうはいかない。金堂に配されている巨大な三像を中心とする九尊の織り成す曼荼羅世界を堪能。その他の建築物も素晴らしい。必見の価値あり。
天平建築を代表する国宝金堂
続いて、唐招提寺から歩いて数分の薬師寺を訪れる。ここの金堂や塔は美しいことで有名である。そして、法隆寺の宮大工棟梁であった西岡常一氏がその金堂や西塔を修理したことでも有名だ。よく、あのような曲線美が出せるものだと感心する。まもなく、東塔も修理に入るようだ。
薬師寺金堂
薬師寺西塔
朝から、暑い中、歩き廻り、さすがに足が悲鳴をあげている。京都のホテルに向かう。
京都路
翌日(10月13日)、ホテルの近くにある本能寺を 訪れる。たまたま、10時から普山式があるとのことで、境内を若い僧が忙しく走り回っている。普山式とは、俗世界での襲名披露式のようなものだ。信長公の 愛用の刀が廟には納められているとのこと。
本能寺から銀閣寺をめざす。京都の観光はバスが便利である。ホテルで市バス専用の一日乗車券を購入する。500円で乗り放題は安い。 銀閣寺道でバスを降り、哲学の道を歩く。琵琶湖疏水である。これ自体が土木の世界では歴史的遺構である。
さて、銀閣寺である。参道の写真をとったところでデジカメのSDの容量がいっぱいになる。せっかくの銀閣寺の写真が取れない。銀閣寺の庭は素晴らしい。素晴らしく手入れが行き届いている。写真が取れなかったのが本当に残念。
銀閣寺の参道
銀閣寺の次に金閣寺に行く。ここはほぼ1年前にも訪れ、ブログにも書いた。銀閣寺の侘びさびとはまた違う華やかさがある。修学旅行生もうるさく走り回っている。銀閣寺に比べ、なぜか、中国人観光客が多い。
池面に映える金閣寺
去年は工事中で拝観できなかった龍安寺を見に行く。金閣寺から、バス停で3つほどの距離にある。有名な石庭を本堂の縁側から眺める。銀閣寺の向月台(こうげつだい)や銀沙灘(ぎんしゃだん)と同じ感覚を味わう。
枯山水の石庭
京都駅まで帰ってきて、遅い昼食をとったあと、西本願寺に行くことにする。これがまたすごい。その大きさに圧倒される。聞けば、御影堂は東大寺に次ぐ高さとか。そこかしこにある建物群がすごい。徳川家康がその権勢をおそれ、東本願寺と分離させたのもなんとなく分かる気がする。そして、もっとすごいのが京都らしくない、拝観料を取らないこと。そして、説話も含めて、堂内をすべて散策できることにもびっくり。敷地内にある龍谷大学を見ていると、結構、女子学生がいる。女子学生の一人に伺うと、既にお坊さんの資格をとったという。
久しぶりの観光旅行の心地よい疲れを覚えつつ、西本願寺を最後に京都駅から大阪伊丹空港に行き、19:00発の便にて帰路に着く。