歌謡コンサートに想ふ

昨日(2009/2/10)NHK歌謡コンサートを見に行った。生放送の番組である。抽選による無料である。開場18:30、20:00開演(放送開始)ということで、18:00前に原宿駅に降り立つ。なんか凄い賑わいである。歩道から人が溢れている。どうも安室奈美恵のコンサートも近くであるらしく、若い層(安室奈美恵コンサート客)と中年以上の層(NHK歌謡コンサート客)がない交ぜになってごった返している。混雑を抜け、18:00過ぎに会場のNHKホールに行くと既にこちらも長蛇の列。何度かこの生放送の会場に来たが今回は凄い。待つこと約30分、時間きっかりに列が動き出す。約30分ほどでみんな入場。入場した後、開演までの間に、ロビーや休憩エリアでみんな持ち込んできたおにぎりや弁当を一斉に食べ始める。これまた凄い。こちらもおにぎり3個ほおばり腹ごしらえする。

いよいよ開演間近。15分ほど前に若いディレクターが出てきて生放送に向けての注意事項の説明や拍手の練習。そして、小田切アナウンサーが開演前の挨拶。ややいつもよりも声のトーンが高い。一端引っ込んでいよいよ放送開始。今回のテーマは「熱唱ドラマチック歌謡」とのこと。

北島三郎の「風雪ながれ旅」で幕が開ける。ちょっと年老いた感じがする。

続いて、秋元順子「愛のままで…」。確かに良い歌だし、歌唱力もある。生で聞けて良かった。つい先日、なにかの番組でドキュメンタリーを見た後なので余計に親近感がわく。若いときではなく、熟年になってからこうして世間の評価を受けることは人生の生き様として幸せである。見習いたいものである。

松原健之の「踊子」はきれいすぎあまり感動がない。

これに対して、この後の島津亜矢による「北海の満月」は出だしからとにかく凄い声量で迫力満点であった。「北海の満月」そのものも久しぶりに聞いたが、とにかく声量に圧倒される。このあたりから会場が盛り上がる。

この流れが、氷川きよしの登場で一気に盛り上がる。中年女性から後期中年女性まで氷川きよし公認グッズとかのペンライトを 手に持って会場のあちこちで「きよし〜!」コール。かなりの氷川きよしファンが来ているようだ。「浪曲一代」の歌なんかどうでも良い雰囲気。

続いて、中村美律子が「壺坂情話」で登場する。いきなり隣の中年男性が「みっちゃ〜ん!」の大きなかけ声。中年男性陣も負けていないようだ。

そして、なつかしい辺見マリが登場して昭和45年のヒット曲「経験」を歌う。昔聞いていた頃の辺見マリのとはさすがにちょっと違っていたが、その雰囲気は失っていない。

小金沢昇司の「神楽坂」、そして 藤あや子の「心の襞」と続くが盛り上がりに欠ける。

最後は、北島三郎の「波瀾万丈」となるが勝手の勢いが感じられない。少し寂しい。

こうして、番組の生放送が終了するが、会場はまだ続く。生放送は45分で終わるが、会場ではその後も約30分、登場した歌手が残り、歌を披露する。 この日は、中村美律子、島津亜矢と歌い、最後は氷川きよしであった。最後の氷川きよしになると、会場は氷川きよしコンサート会場と化す。隣のファンの方に聞くと、番組本番中は北島三郎がいたので少し遠慮していたとのことであるが、番組も終了した後は遠慮はいらないとばかりに凄い応援。「こうやってストレスをは発散しなくちゃ」とのことであった。お見それしました。

普段はおとなしそうに見える中年女性や男性がエキサイティングする光景を見ると、こうした興奮状態を引き出すエンターテイメントのすごさに改めて思いが至る。スポーツも同じ。政治もいまはエンターテイメント化(劇場化)している。しかし、よく考えてみると、そこで演じている人よりも、演じることを可能ならしめている仕組みがそこにはあり、その仕組みに乗っかって演じきれる人が時代の脚光を浴びるのである。勝手の小泉純一郎氏がそうであった。いわゆる土地・住宅・金融バブルも同じである。

グローバル化する世界の中で少子高齢化する日本において、ある程度の興奮性を有しつつ本当に社会に役に立つ、後世においても評価される仕組みをつくり、それに乗っかって一人ひとりが人生を楽しめる世の中にしたいものである。