「惑う After the Rain」 を観る

2016年1月16日、ニッショーホール(日本消防会館)で、「惑う After the Rain」を試写会で観た。明日(1月21日)から全国でロードショーとのこと。

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試写会当日、開場30分ほど前に着くと、既に会場入口の外に行列ができていたが、寒波の影響もあり、寒いので18:00の開場予定を10分早めてくれた。こういう配慮はたとえ10分でもありがたい。

そして、18:30から上映に先駆けて、この作品の監督である林 弘樹監督と、主演の二人の女優(佐藤 仁美、中西 美帆)が着物姿で登場し、壇上でトーク。監督は、北野武監督の助監督をしていた「次世代監督の筆頭として注目を集めている」とのことである。パンフレットには、「日本映画界屈指のスタッフが結集」と書かれていたが、監督も「細部に拘って撮った」と云っていた。そして、さすが、二人の女優は女優らしい。華やぐ。

さて、映画のテーマは、「家族」である。家族というよりも「家族になる」と云った方が適切かもしれない。血の繋がりによる家族ではなく、心が通う「家族」とはなにか、「家族になる」とは何か、を描いていた。主演の二人の姉妹は捨て子であり、その子を育て、結婚までに至る心の風景を、日本の家族の原風景的な映像を撮っていた。

舞台となる家、屋敷は、縁側の廊下とか、畳の間、欄間等々、昔の家はそうだったよな、そういえば、昔は家や近くの料理屋(田舎の料亭)で結婚式を挙げていたなと、なつかしく思い起こさせる映像であった。

そうした日本の風情を感じさせる、家族が育まれた家・屋敷が再開発のために取り壊されるシナリオとなっていたが、それは、そうした味のある家・屋敷が取り壊されたり、空家化(腐朽化)させている現在の風潮に警鐘を鳴らしているのではと思われた。しっかりした木造の家・屋敷は人が住み、手入れをすれば住み続けることができる。なんとか活かしながら守って欲しいものだ。

最後の関係者・協力者等の紹介が縦書きであったが、これが意外と新鮮で、和のテイストが醸し出され、この映画にマッチしていた。

試写会では珍しく上映終了後が拍手が続いた。確かに、いい映画であった。観に来ていた人は皆、自分の家族、結婚のことを思い起こしていたのではなかろうか。「家族になろう」と思ったのではなかろうか。

「家族」というか、夫婦であること、子供を育てること、育っていくこと、巣立っていくこと等について、そして、その環境としての「家」について、いろいろと思いを馳せ、その余韻が拍手に繋がったのではと思う。

たまには、こうした心を洗われる映画を観るのも良いなと感じつつ、寒風の中を帰路についた。0001