世界遺産 富岡製糸場を観る

2016年5月15日(日曜日)、世界遺産に登録された富岡製糸場を見に行った。自宅を車で9時に出て、1時間半ほどで着いた。意外と近い。しかし、帰りは関越道が大渋滞で、寄居から東松山の間の10数km程を抜けるのに100分との掲示。動かないので、SAやPAで休憩したり、食事をしたりして、渋滞がなくなるのを待って帰宅。

さて、富岡製糸場は、平成26年6月21日 第38回世界遺産委員会 ドーハ(カタール)で「記載」の決議(世界遺産登録決定)、6月25日 世界遺産一覧表に記載(正式登録)されたもので、いわゆる産業遺産である。

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[caption id=“attachment_1949” align=“aligncenter” width=“640”]富岡製糸場パンフ20160517 国宝となっている3つの建物の高さ、幅、長さはいずれかが同じとなっているのが興味深い[/caption]

入り口で1,000円の入場券を購入し、さらにボランティア案内ガイドの説明(200円)に加わる。標準40分で一回りするとのことであるが、約1時間かけてくれた。廻りを見ていると、案内人によって、説明の力点が異なるようであるが、やはり、説明を直接聞くとよくわかる。このあと、各自、それぞれに廻る事になる。

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入場してみると、東京ドームほどの敷地にいろんな施設がある。維新後の明治5年にこうした近代的施設が完成していたとは驚きである。その後、官営から民間に経営が移っても、そして操業を終えてからもその施設を維持してきた民間企業経営者に敬意を表せざるを得ない。

[caption id=“attachment_1924” align=“aligncenter” width=“396”]IMG_2382 キーストーンに「明治五年」と刻印されている。[/caption]

富岡製糸場はフランス人のポール・ブリュナ(横浜にあったフランスの生糸買い入れ会社の生糸の検査をしていた)の計画の下、西洋の先進技術・機器と日本の伝統技術を融合してつくられたとのこと。その代表が、瓦葺木骨煉瓦造構法である。構造材(梁、柱)を木造トラス構造にし、屋根は日本瓦、壁は煉瓦(瓦職人が焼いた)、煉瓦積みの目地材はセメント代わりの漆喰、電気がなく明かり取りのために多用したガラス窓のガラスは輸入。そして、基礎は石組みである。

[caption id=“attachment_1925” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2381 基礎の石積みの上に、柱の基礎の高さまでの2層の煉瓦は横に平積みされているが、その上の3層目からは煉瓦を縦横に積むフランス積みが施されている。窓の蝶番もボルトナット式の輸入物。[/caption]

 

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[caption id=“attachment_1927” align=“aligncenter” width=“480”]IMG_2386 富岡製糸場の瓦屋根にはこのような丸い太陽と海を表した鬼瓦が設置されているとのこと[/caption]

[caption id=“attachment_1928” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2387 工場の屋根を支える木骨トラス構造[/caption]

[caption id=“attachment_1930” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2404 繭置き場(倉庫)の2階を支える天井[/caption]

[caption id=“attachment_1931” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2408 繭置きの倉庫の屋根を支える木骨トラス構造[/caption]

これは日本の伝統的な神社仏閣、城郭等の技術を想起させる。構造的な部分を日本の伝統技術を使い、工場としての新たな機能(当然、日本に技術、モノがない)ものを輸入して使用している。経営形態も先進的で、現在の就業規則、福利厚生等に引けをとらない。世界最大規模の製糸場から生産される生糸・絹糸は、世界に輸出されたとのことであるが、あの時代に最初から世界を相手にビジネスを起こすと云う気概はすばらしい。

保存修理工事中の国宝「西置繭所」を見学(ヘルメット代として200円)した。繭所を覆う仮設施設のカバーに西繭所の写真を原寸大で印刷してあり、遠目にはカバーシートとはわからない。3階建ての見学施設からは修復中の屋根が見える。国宝の保存修理は大がかりであるが、こうした事を通じて伝統的技術の継承ができることを考えれば納得がいく。

[caption id=“attachment_1939” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2370 建物の左側に見える煉瓦造り風の箇所は工事用のカバーシート[/caption]

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[caption id=“attachment_1936” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2417 見学所3階から見える修復中の屋根。瓦が外されている。[/caption]

[caption id=“attachment_1937” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2418 修復中の2階[/caption]

[caption id=“attachment_1938” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2420 修復中の1階[/caption]

[caption id=“attachment_1941” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2419 修復の見学施設は展望台的機能もあり、なかなか良い[/caption]

[caption id=“attachment_1942” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2421 西置繭所近くにある重要文化財の鉄製の水溜[/caption]

 

富岡製糸場を初めて見たが、これは政変といいう政治のイノベーションが、産業へのイノベーションにつながった証左そのものである。誠に、世界の産業遺産にふさわしい。いろいろと勉強になった。いつまでも天高くそびえ立って欲しい。IMG_2422