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ふるさとは遠くにありてこそ価値がわかる?

2016年春分の日に、甥の結婚式があり、徳島に帰省した。前日午後に徳島に着き、時間があったので久しぶりに市内にあるというか徳島駅裏に位置する徳島城博物館と旧徳島城表御殿園を散策し、ふるさとの歴史・文化を再認識した。そして、明くる日、古民家を移築し活用した結婚式の会場をみて、歴史の遺産(レガシー)を利活用することの良さを味わった。

徳島(阿波)の歴史

徳島城博物館と旧徳島城表御殿園は、徳島中央公園の中にある。学生時代にはなかった徳島城博物館ができている。この建物に入るのは初めてである。中に入ると、徳島の歴史、特に阿波徳島藩の歴史が詳しく説明展示されている。ボランティアガイドの方にも、蜂須賀家と時の政権(豊臣家、徳川家、明治政府)との関わり、戦いの際の陣取り等を詳しく教えて頂いた。これまで知らなかったことが多い。歴史を知ることの大切さを再認識した。

[caption id=“attachment_1867” align=“aligncenter” width=“454”]庭園から見た徳島城博物館 庭園から見た徳島城博物館[/caption]

季節柄、「ひな人形の世界」という企画展が博物館の一角でされていた。その展示を見ていて、印象に残ったのが「御殿飾り」である。なかなか精緻なつくりですばらしい。徳島では昭和30年代まで、この様式の雛飾りが中心であったらしいが、現在はその伝統はなくなってしまったと説明板に書かれていた。残念である。

[caption id=“attachment_1875” align=“aligncenter” width=“457”]御殿飾り(パンフレットより) 御殿飾り(パンフレットより)[/caption]

続いて、庭園に廻る。この庭園は、枯山水の庭と池泉回遊式の庭園が合わさっている桃山様式の庭とのこと、この庭に使用されている石の多くは「阿波の青石」(学術名:緑泥片岩)である。庭園の目玉の折れ橋も長大な青石である。博物館脇にも見事な青色の青石の井戸が展示されていた。

[caption id=“attachment_1874” align=“aligncenter” width=“640”]庭園パンフレットより 庭園パンフレットより[/caption]

IMG_2067

[caption id=“attachment_1865” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2058 枯山水[/caption]

[caption id=“attachment_1866” align=“aligncenter” width=“640”]折れ橋 枯山水 折れ橋[/caption]

[caption id=“attachment_1869” align=“aligncenter” width=“640”]IMG_2065 築山泉水庭[/caption]

[caption id=“attachment_1868” align=“aligncenter” width=“640”]見事な青石の井戸 見事な色の青石の井戸[/caption]

そういえば、実家が一時期、魚を扱っていた頃、冷蔵施設がなかった時代であるが、魚を冷やすために大きな平らな青石の上に魚を並べていた。水をかけると深い青色となっていたことを思い出す。いま、あの青石は小さく割って建て替えた実家の玄関口に張られている。

古民家を活用した結婚式場

翌日、快晴の下、式場に行ってみて驚いた。いわゆる古民家を移築した式場空間である。今まで徳島にこうした施設があることを知らなかった。式場関係者に訊くと、阿波の藍の豪商の家と、滋賀県にあった武田家ゆかりの家を移築したとのこと。神前結婚・人前結婚用の施設も滋賀県から移築した茅葺きの農家風の家である。

[caption id=“attachment_1861” align=“aligncenter” width=“640”]阿波の藍の豪商の家 阿波の藍の豪商の家[/caption]

[caption id=“attachment_1862” align=“aligncenter” width=“640”]滋賀から移築した武田ゆかりの家 滋賀から移築した武田ゆかりの家[/caption]

[caption id=“attachment_1863” align=“aligncenter” width=“640”]りっぱな柱と梁 りっぱな柱と梁[/caption]

[caption id=“attachment_1860” align=“aligncenter” width=“640”]滋賀から移築した茅葺き農家 滋賀から移築した茅葺き農家[/caption]

披露宴で使用した滋賀県から移築した武田家ゆかりの家は、その柱・梁はさすがと思わせるりっぱな構造材である。そうした柱・梁を活かしながら、和モダン風にリノベーションしている。なかなか良い。

惜しむらくは、この施設のサイトではそうした建物の由来をほとんど記載していない。その由来(物語)を記すだけでもこの建物空間の価値は大いに上がる。古民家のリノベーション事例としてもっと誇って良いのでなかろうか。もったいない。

古民家はもっとその価値を見直すべきである。徳島県の山里にある祖谷の古民家を現在風の宿に再生しているアレックスカー氏も、先月(2016年2月11日)のふるさと納税未来大賞の表彰イベント「ふるさと・いいこと・フェア」(主催:ふるさと知事ネットワーク、共催:NPO法人ふるさとテレビ)のパネルディスカッションで「日本人、地方の人はもっと地域の宝に気づくべしだし、自然、歴史、風土等々は文化資産であり、オーナーシップ的にそうしたものを大事にするべきである」と指摘していた。

まさに、ふるさとは、遠くにありてこそ、その価値がわかるのかもしれない。改めて、ふるさとの歴史・文化を知り、ふるさとを応援したいものである。