読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

形だけの仕組みに魂を入れよう! 新陳代謝を起こそう!

Data News 時評

世界の枠組み、仕組み、市場が大きく代わろうとしている中で、わが国は何となくこれまでの慣性で流れている感じがする。場面においては、先祖返りの様相さえ見せている。象徴的な事件も発生している。世界的な構造変化の時代の流れの中で、持続的に存在感をもって国として、組織として、そして個人として自律していくには何が必要か。

それはあらゆる面での過去の実績にとらわれない機会均等の競争的環境であり、新陳代謝であり、イノベーション(創造的破壊)ではなかろうか。不正の発覚がほとんど内部告発によるものであることが、仕組みが機能していないことの証左である。

経営トップに対するガバナンス等の仕組み ~東芝不正会計(粉飾決算)事案を例として~

創業140年の東芝の不正会計事件に見られるように、歴代3社長らが東芝及び株主から損害賠償請求訴訟を起こされている。株式会社という組織の経営の仕組みが問われている。従業員に対するコーポレートガバナンスはぎりぎりと進めている一方で、トップの不正に対するコーポレートガバナンスコンプライアンスの仕組みが実効性を有していない。取締役会や会計監査法人が機能していない。第三者委員会やマスコミも追求に腰が引けている。

東芝にかかわらず、代表取締役社長を退任しても、会長、相談役として社内の人事、経営等に関与する会社が日本の場合、ほとんどと思われる。実力会長、実力相談役等の呼称がそれを物語っている。本来の仕組みにはない機能が隠然たる力を持っているのはいかがなものか。社長を交代した意味がない。組織としての新陳代謝が進まない。それどころか、劣化が進む恐れの方が大きい。

さらにこうした事件が発生する源に、市場のニーズに合った適正な品質で競争するという世界の市場動向に、日本の製造業が対応し切れていないという問題がある。市場の新陳代謝にたいして日本の製造業が新陳代謝できず過去を引きずっている。経営と現場にギャップがあり、無理が不正会計を招いている。

東芝粉飾問題に見るモノづくり大国日本の終焉、 Video News、2015年10月10日新日本監査行政処分から見えてくる「東芝会計不正の深い闇」、郷原信郎が斬る、2015年12月24日東芝、元社長らへの損賠請求32億円に増額 会計不祥事、日本経済新聞、2016年1月28日

認可の仕組み ~化学及血清療法研究所(血液製剤偽造)事案を例として~

血液製剤の分野で国内シェアのおよそ3割を占める熊本市の製薬会社 一般財団法人化学及血清療法研究所(化血研)が血漿分画製剤について約40年にわたり、承認書と異なる方法で製造するとともに不正な製造記録を作成しこれを隠ぺいしていたことが発覚(内部告発)し、厚労省から110日間の業務停止処分(2016年1月8日付け)を受けた。日本製薬工業協会からの除名処分(2016年1月21日付け)も受けている。

40年にわたり不正製造をしてきたことがなぜ発覚しなかったのか。化血研そのものの問題はもちろんあり、そうした組織の存在は許されるものではないが、それ以上に認可の仕組み、認可後のモニタリングの仕組みが欠落していたとしか云いようがない。

非営利団体がなぜ市場性を有するワクチンや血液製剤を独占的に製造するのか。そのような仕組みで緊張感をもって、許認可審査ができるのか、製造・供給(販売)した後の品質改善・コスト削減努力のインセンティブは働くのだろうか。市場の競争と評価にさらす仕組みの方が国民、患者にとって良いのではなかろうか。

第三者委員会報告書について、化血研HP誠実な技術者の「誇り」が「驕り」に変わるときとは?-血液製剤偽造事件おとりつぶしに怯える財団メーカーたち 護送船団方式の国産ワクチン 化血研・隠ぺい問題の背景、WEDGE Infinity、2016年01月19日 11:42 - 村中璃子和解直後も不正継続…懲りない化血研の偽装体質 「安定供給」考え厳罰下せぬ厚労省のジレンマも、産経ニュース、2015.12.27

業界の仕事の仕方の仕組み ~傾いたマンション(杭データ偽造)事案を例として~

経営者、企業組織をある意味で超えた問題として、業界としての常識・慣行的仕組みが問題を発生している典型的な事例が「杭データの偽造問題」である。これは、建物や土木構造物にとって安全の基本である基礎の強度を揺るがす不正であり、それが発覚した後の対処には膨大なコストが発生する。

今回の傾いたマンションの建設は元請けから3次下請けの階層で行われている。施工前の設計(設計コンサルタント)もまた階層構造となっている。土木・建設業界でよく見られるパターンである。しかし、今回の事件発覚でわかったことは、どの階層でもきちんと施工管理がなされていなかったと云うことである。典型的な「スイスチーズモデル」である。実質的な機能・業務を行わない中間業者を排する仕組みにしない限り、チーズモデル的な事故、不正は防げない。

三井不動産、語られぬ真実 傾斜マンションの闇、日本経済新聞 電子版、2015/12/21【スクープ前編】杭問題で三井住友建設に不利な新証拠!、SAFETY JAPAN、2016年1月13日杭打ちデータの改ざん 問題の本質はどこに?、日本経済新聞、2016/1/17土木でも杭打ちデータ偽装、監督・検査で見抜けず、日経コンストラクション、2015/11/09

0001

最後に

改めて、仕組みの形だけ造って魂が入っていなければ仕組みを作った意味がないし、それは仕組みとは云えない。現場実態に合った形で、実効的な仕組みになっているか、常に問い続けなければならない。仕組みもまた新陳代謝しなければいけない。