雪かきコミュニケーションから住宅・土地問題あれこれ

2週続けて、週末に大雪になった。おかげで毎週末、スコップを持って雪かきに追われた。家の前、通りのあちこちで人が出て雪かきをするという、普段見慣れない光景が出現する。なんとなく、声を掛け合う雪かきコミュニケーションも発生する。筋肉痛にも見舞われる。

以下の写真は、雪かきして2日後の写真である。

雪かきをしている人の高齢化、構造力学を余り考えず設置して雪の重みでつぶれた駐車場の屋根、雪かきがされない共同住宅の前の通り、側溝がなく雪溶け水の行き場がない道等々を眺めながら、何とはなしに住宅問題、土地問題に想いが馳せる。

最近、自宅の廻りを見ていると、定年退職を機に改築にとどまらず、何故か立て替えをしている家が少なからずある。長年、節税対策で農地があったところに、相続税対策と思われるアパートやマンションが次々に建てられている。市街化調整区域内農地にも農業用とは思えない建物(一般住宅)があちこちに建つ。

さら、公共事業に並ぶ景気対策の柱として、「ふらっと35」をはじめ、頭金ゼロ・長期固定超低金利の新築持ち家奨励の金融政策、税政優遇措置がとられる。こうして、総人口、総世帯数が減少するなかで、いまだ新設住宅着工件数は年間80万戸を超えている。

わが国は、既に、昭和48年にはすべての都道府県において住宅数が世帯数を上回っている。そして、空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は一貫して上昇を続け、平成20年には13.1%(757万戸)となっている。もはや、新設住宅を優遇する時代ではない。中山間地を中心に農地の耕作放棄地も増加している。耕作放棄された面積は平成17年の農林業センサスによると、全国で38.6万haに達している。これは埼玉県の面積に相当する。新規埋め立てなどする時代ではない。

一方で、雪かきさえままならない超高齢社会が進展し、独居高齢世帯の大宗化や、要介護者・認知症者が増加している。要介護高齢者は2025年に702万人、認知症高齢者は2025年に553万人(いずれも、認知症・要介護高齢者の将来推計、エイジング総合研究センターより)と推計されている。家族の介護・看護を理由とした離退職者数は年間10万人を超えると言われている。時代構造の変化・進展に仕組みが追いついていない。

出典:高齢者等の安心な住まいについて、平成26年2月、衆議院調査局国土交通調査室

グローバルな都市間競争を意識した都市づくり、健常者を前提とした従来型の都市づくり・まちづくりと、今後の大宗となる高齢者を中心とする住まう人の暮らし方を意識したまちづくりや住宅は発想の根本が異なる。成熟化した日本の「成長」とは何か。内需型の公共事業や住宅建設に依存するだけは将来がない。「成長」の意味そのものをイノベーションすべき時期に来ているのではなかろうか。