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Wii Fit

体を動かすと体が痛い。筋肉痛である。理由はWii Fitである。Wii Fit任天堂が開発し、2007年12月1日から発売開始したもので、わが家にも年末に娘が持ち込んだ。正月休みでなまった体を動かすために、何気なしにバランスWiiボードに乗ってみたのが始まりである。それ以来休みなく毎日1〜2時間かけてすべてのメニューをこなしている。休みの日でないとすべてのメニューをこなすのは難しい。しかし、とにかく、あちこちの筋肉が痛いのである。

Wii Fitをやってみてはっきり分かったことがある。体の左右のバランスをとるための体の重心移動がうまくできないこと、体を前後左右に動かす瞬発力というか体の柔軟性が頭で思い描くとおりにはならないこと、足の力が思った以上に弱っていて片足立ちがうまくできないことなどが目で見える形で分かる。これはビジネスの世界でも最近もてはやされている「可視化」である。

小生の体力史を顧みると、小学校から大学を卒業するまで、器械体操、バスケットボール、サッカー、そして水泳と一貫して体育会系のクラブ活動を続けてきたため、体力or耐力にはいささか自信があった。しかし、社会人になって運動をする時間がなくなってくると、急速に運動能力、特に瞬発能力が落ちてくる。眼で捉え、頭でイメージした動きに手足がついていかない。

例えば、野球なりソフトボールあるいはサッカーをしていて、目の前にボールが来たとき、頭の中のイメージでは体がスムーズに動いてボールをキャッチしたり、蹴ったと思っても体が反応していない。忸怩たる思いを感じる瞬間である。

次に来るのが体重増加そして体脂肪増加。いまで言うところのメタボリック症候群である。かっては、皮下脂肪も内臓脂肪もなかった体に脂肪が巻いている。走れば体がタボタボしていかにも脂肪がだぶついていることを嫌でも実感する。

これではいけないと、昨年の夏から毎日帰宅後ジョッキングを始めた。最初は200〜300mも走るとゼイゼイしていたが、数ヶ月たった現在では、一応2〜3km程度はジョッキングできるようになった。すこし、かっての感覚を取り戻しつつある。と思っていた矢先にWii Fitでこれでもかというほど体力が落ちていることを思い知らされるのである。

娘(女子大1年生)がバランスWiiボード上で軽やかにメニューをハイレベルで消化している姿を見て、かっては娘以上の運動神経と体力を誇っていたのにと愕然とする。今年は、ジョッキング、水泳、Wii Fitを組み合わせて、もう一度きちんと体を作り直そうと誓った次第である。

ところで、このWii FitWii本体が25,000円(税込み希望小売価格)、バランスWiiボードが8,800円(税込み希望小売価格)で売られているが、フィットネスクラブに通うことを考えればコストパフォーマンスは良い。さらには、肉体を鍛える成長期用、肉体を維持する大人用、肉体老衰予防用の高齢者用とソフトを分けた方がもっと良いのではないか。加えて、Wii Fit以外の運動(記録)との連携をもっと見える形にすれば、Wii Fitの価値も増すのでは。

脳トレ」で脳を鍛え、「眼力」で眼を鍛え、「Wii Fit」で肉体・心肺機能を鍛えると、残るは「歯力(噛む力)」のみか。発声力と聴力はカラオケの普及のおかげで既に鍛えるツールがあるし、みんな実践している。残された歯力(噛む力)に関するゲームを是非開発して欲しい。これまでのコントローラはすべて手で操作していたが、これからは口に挟み、歯とあごの力で操作するコントローラがあってもいい。

喫茶店でスペースインベーダーをピコピコしていた世代から見れば、現在のゲーム機器は隔世の感がある。当時、現在のような状況になるとは思ってもいなかった。花札メーカーの任天堂が世界の家庭用ゲーム機メーカーとなりトヨタに次ぐメーカーになるとはさらに誰も思ってもいなかったのでは。雨靴メーカーであったノキアが世界最大の携帯電話機メーカーに変身したのに匹敵する。

携帯電話機も家庭用ゲーム機器もまずはハードの普及を優先させ、ソフト(使用料、ライセンス料)で回収するビジネスモデルである。従って、他社に先駆け、損益分岐点をいかに早く超えるかが勝負になる。現在は、一人勝ちの時代であるからである。そのための戦略が、ハード原価を可能限り下げ、販売価格を極限まで抑え(原価割れも含む)、そしてキラーコンテンツの投入である。

任天堂ソニー・コンピュータエンタテインメントSCE)やマイクロソフト(MS)とは異なり、ハード・技術にこだわらず、いわゆる「枯れた技術」でコンテンツ勝負、デザイン勝負をしている。技術を得意とする他社と勝負する土俵をずらし、新たな市場を開拓している。任天堂の成功が「ブルー・オーシャン戦略」<http://www.jmrlsi.co.jp/menu/yougo/my02/my0222.html>として評価されている由縁である。

全身に心地よい筋肉痛を感じつつ、任天堂の更なる展開に期待したい。