大磯 定置網漁をみる

2019年10月28日(月)、大磯港沖合(神奈川県)での定置網漁を船に乗って見る機会を得た。大磯地方創生事業推進コンソーシアム(略称:大磯コンソ)の会員の一人が企画している「大磯の定置網でとれる魚で市場に流通しない規格外の魚を活用(町内循環経済)する仕組みづくりを行う」というProjectの支援をするために、まずは現場を実際に見てみないとはじまらないと云うことで、手配を頂いた。 定置網のイメージは知っていたが、実際に乗船してみるのは初めてである。

定置網漁の仕組み

大磯港沖合の定置網について調べると、「相模湾の定置網等設置状況(鎌倉~福浦)湘南海上保安署 平成27年2月更新」にその設置箇所が掲載されていた。相模湾沿いは定置網が盛んなようである。今回の定置網は、「大磯港南方沖 定置17号」である。

定置網による漁の仕方(網の操作)は神奈川県の水産技術センター相模湾試験場の「相模湾の定置網(ていちあみ)漁業 詳しくご説明します。」(掲載日:2018年1月5日)のサイトページに、確かに詳しく説明されている。定置網漁の仕組みがよく分かる。

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深夜の大磯駅

乗船する予定の定置網船[㈲湘南定置]の出港が月曜日(10/28)の午前1時頃と云うことなので、前日の日曜日(10/27)、最寄り駅(所沢駅)を22時過ぎに出て、湘南新宿ラインの最終便で大磯駅に0時過ぎに着いた。深夜の大磯駅もなかなかの雰囲気である。0:30に待ち合わせの会員の方の車で、大磯港に向かう。

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大磯定置網船 出港から帰港まで

港に着くも未だ誰もいない。1時前に、カッパを着て待っていると、突然、人が集まってくる。来るなり、埠頭と船でいきなり慌ただしく出港準備が始まる。出港する船は1隻のみである。頃合いを見て、邪魔にならないように我々も船に乗る。そして、気がつくと、いつまにか岸壁を離れ、出港している。乗員6名、そして我々2人、合計8人。なんとも動きに無駄がない。

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大磯港を出港して、程なく定置網の設置場所に到着。10分もたっていない。近い。波もなく、揺れも殆どない。定置網のロープを巧に操り、漁船を寄せ、網を狭めていく。船の明かりと魚に海鳥が寄ってくる。海鳥と漁師との魚の奪い合いと云った感じがする。魚が追い込まれた箱網が海面に上がってくると海鳥を追いやるためため、明かりをずらす。すると、海鳥が箱網から離れた明かりの方に移動する。なるほどと感心する。漁船をぴったりと箱網に寄せる。

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箱網の明け口はファスナーになっている。こんな所でファスナーが使われていることを初めて知った。そのファスナーを開けると、網が開き魚が見えてくる。生きの良い魚が飛び跳ねる。なかなかの風景である。梃子を応用した網ですくい上げ、船倉に流し込む。カンパチ、サバ、アジが多い。小エビや、太刀魚、カサゴも若干とれていた。ブリも一匹見かけた。それ以外の魚もいるが、名前が分からない。

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箱網から魚をすくい上げ終わると、ファスナーを閉め、ロープを戻しながら元の設置形態にしていく。船を寄せるときと違って、戻すのは早い。到着してからほぼ1時間ほどで帰港する。意外と早い。接岸も手慣れたものだ。その昔、外航貨物船(日本郵船)の元船長さんと、スエズ運河の航行安全調査を一緒にしたとき、小さな船の船長さんほど接岸の操船が巧いと云っていたのをふと思い出した。

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帰港するやいなや、埠頭に上がり、仕分け作業の準備をあっという間に行う。船員さんはある意味、多能工的な感じがする。仕分け台に魚を下ろし、選別していく。そして、1箱に5kgを基準に氷水の中に詰めていく。おそらく、この選別と出荷用の箱入れが品質の信用を左右するものと思われる。どの業種でも選別は難しい。獲るよりも時間がかかる。台風後の初網であったようで心配されましたがまずまずの水揚げのようでした。水揚げされた魚は、小田原市場に出荷されるとのこと。

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出荷用に箱詰めしながら、仕分けを手伝っている大磯漁協直営の「めしや 大磯港」の店長兼料理長が店用に選別した魚を食堂に運び入れている。会員の方も箱詰め作業を手伝ったお礼代わりに規格外の魚を頂く。

獲った魚の行方

仕分け作業もあと1時間ほどになった4時頃、手配頂いた会員の方と一緒に港を離れ、頂いた魚を大磯町社協の地域センター「まんてん」の食堂に届ける(置き箱)。その後、会員の方の家で8時頃まで、仮眠する。仮眠後、朝食に港で頂いた魚を食する。さすがに新鮮なだけあって身がこりこりしておいしい。

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その後、会員の方が活用を考えている自宅の空き室(両親の住んでいた家の一部)を見たり、移住支援センター構想Projectの打合せを行った後、高台にある空家をリノベーションして1棟貸している施設(民泊)を見学に行った。高台からの眺めがすばらしい。

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その後、社協の「まんてん食堂」に行き、昨日届けた魚の惣菜料理を見る。この食堂は、ランチ(カレー)300円、珈琲100円と安い。食事をした後、サバ惣菜(竜田揚げ、蒲焼き、味噌煮込み)をお土産に痛き、自宅発で夕食時に食した。サバの竜田揚げは、小中学校の食育を兼ねた給食の一品として提供できるのではと思った次第。

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こうした地場のしかも規格外の魚は少量で、かつ安定的な供給ができないが、食育はそうした不安定な自然ベースの供給の仕組みを教えることも含めてなされるべきではなかろうか。供給量(調達量)に見合った柔軟な需要(提供)形態を考えば良いのではなかろうか。大量規格品ありきからの発想転換が求められている。

 深夜から定置網漁を見学させて頂いて、地域内循環経済の仕組みづくりに思いを馳せた良い1日であった。