東京国立博物館で「縄文展」を観る

2018年8月21日(火)、上野公園内にある東京国立博物館平成館で開催されている「縄文展」を観に行った。気温は31度。やや暑いが、危険な暑さでなかったことと、入口での待ち時間が少なく、助かった。

 

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縄文時代の草創期-前期-中期-後期-晩期に渡る1万年の縄文土器土偶等が一挙に観えて、時代の移り変わりとともに、土器、土偶、生活雑貨、そしてそれらを作るための道具の変遷が良く理解できた。教科書にも出てくる土器や土偶をはじめて生で直接見ることができ感動した。

縄文時代とは
約1万3千年前に氷河期が終わると、海面の上昇によって日本列島が誕生しました。自然環境の変化に合せて、狩りには弓矢が使われるようになり、土器が発明され、人びとは定住するようになりました。その後、約1万年にわたって続く新石器時代の幕開けです。一般的に新石器時代には農耕や牧畜が始まりますが、日本列島では、おもに採集・漁撈・狩猟による暮らしが続けられていました。この時代の土器は、粘土を器の形にして焼いた素焼きのもので、縄目を使った文様から縄文土器と名づけられました。その名にちなんで、この時代を縄文時代と呼んでいます。

出所:常設展示の「日本の考古・特別展(平成館)」における縄文時代の説明
   「自然環境の変化と定住生活―土器の出現とその変遷―」よりの抜粋

 はじめて実物を見て分かったことは、土器が意外と大きいことと、土器の底が尖っていたものが後期・晩期になるにつれ底が平らに変わっていることであった。底を土あるいは灰に埋めて使っていた形態から、置いて使う形態への移行が垣間見られる。

そして、土偶が小さいことと、そのデフォルメのすばらしさであった。洗練された感性が感じられる。しかし、草創期の土偶を見ていると、小さな子供がおもちゃとして土をいじってつくるのを大人がそれをサポートしつつ、段々とその造形美に気づき、土偶として成り立っていったのではなかろうかと思ったのは、最近、孫の相手をさせられているからかもしれない。

縄文中期(BC2000~3000)の当時の他の世界の文明との比較も展示されていた。それらの文明の場所の緯度を見るとほぼ同じ緯度帯であることを再認識させられた。同じ時代の世界の土器等を見ていると、縄文土器の方が表面の磨き、文様、デザインともにより丁寧な造りで、現在につながる丁寧なものづくりのDNAを想起させる。館内にいた外国人には、この文化の歴史の流れ、比較をどのようにみたのであろうか。

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約2時間半、じっくりと見て足が疲れた。しばし、休憩して、埴輪が迎えてくれる常設展示の「日本の考古・特別展(平成館)」縄文時代を含めた古代の展示を見る。縄文1万年の熟成された文化の上に重畳されていく日本の文化をみる感じがした。良い企画であった。

縄文時代は狩猟採集を中心とした定住形態で、約1万年に渡って持続的な社会を維持(エコシステム)したことに注目が集まっている。現在で云うところのSDGs、地方創生のエコシステムモデルにつながる社会の仕組みに思いを馳せた展示であった。