山田洋次監督「家族はつらいよ2」を観る

昨夜(2017.05.19)、有楽町の読売ホールで、山田洋次監督の「家族はつらいよ2」を試写会で観た。おもしろくもあり身につまされる良い映画であった。1週間後の5月27日(土)にロード笑!とのこと。

 

 ストーリーは、橋爪 功演じる父・平田周造が高齢のため、家族が車の運転免許証を取り上げようと画策する現在の高齢者運転・免許返上の問題を取り上げている。その家族会議をするために家族が集まる前夜に、家族と別れ一人暮らしをしている父の高校時代の友人(小林稔侍)と再会し、家に泊めたところ、翌朝、息を引き取っていたという騒動が起きると云う内容で、独居高齢者問題の一端を織り込んでいる。この話がまたもの悲しい。この一連の顛末を平田家の家族を通して描いている。

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テーマは非常に深刻なものであるが、なぜか笑いが出る。そしてなぜか涙がにじむ。知己の方が免許証を返上した話を聞き、自らも、若いときのようには車が運転しずらくなったことを感じる昨今、高齢者の車の運転問題は身につまされる。

火葬場の場面も、なんどか火葬場での経験をしている者からみると、あのような火葬場の炉側からの映像になぜか胸打たれる。そこへ、一緒に納められた銀杏がはじけたり、火葬場の職員(笑福亭鶴瓶)がひょこっと顔を出すだけで空気が一変し、笑いが起こる。

エンドロールを観ていると多くの関係者が記載されている。映画一本を取るのにあれだけの関係者が関わっている一大プロジェクトで大変だなと思う。そういう一大プロジェクトの脚本を書き、演出し、映像を撮るという監督業はたいしたものであると感心する。

山田洋次監督の前作の「男はつらいよ」シリーズとはまた違ったおもしろさとペーソスがある。こちらの方が俳優に関係なくストーリーそのもので喜劇映画となさしめている感じがする良い映画であった。試写会の会場は涙と笑いと拍手に溢れていた。

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[会場で配布された山田洋次監督からのメッセージ葉書]