「平成30年7月豪雨」が示唆すること

被害の実態と対応

2018年(平成30年)6月28日から7月8日にかけて発生し、広範囲の地域に被害をもたらした前線及び台風第7号による大雨等を気象庁が「平成30年7月豪雨」と命名(同年7月9日14:00)した。

今回の豪雨の特徴は、広い範囲における長時間に渡る記録的な大雨にある。このため、河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が発生し、死者219名、行方不明者10名(何れも、H30.7.22 05:45現在)、及び、全国各地で断水や電話の不通、道路・鉄道の寸断等のライフラインに大きな影響をもたらした。H30.7.21 20:00現在も、避難者は13府県に渡っており、避難者総数は4,439人に上っている。鉄道の復旧も時間を要しそうである。

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歴史の転換点なのか

米朝首脳会談

歴史的と云われる米朝首脳会談が行われた。その評価は分かれている。会談の評価は、会談後の両国の実際の動きによってはじめてできるものであり、現時点での評価は難しい。しかし、この会談がなされたという事実は大きい。欧州、中東、そして東アジアからの米国の縮退の流れが事実として起きている。米国のこれまでの民主主義、自由主義、グローバル主義の理念追求型から、「アメリカ・ファースト」、「1国対1国のディール」型に変質している。国としての外交が変質している。

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「海上保安制度創設70周年記念観閲式及び総合訓練」を観る

2018年5月19日、20日、6年ぶりとなる海上保安庁の本庁主催の「海上保安制度創設70周年記念観閲式及び総合訓練」が実施された。観閲式の観閲船(大型巡視船)は4隻(晴海埠頭から3隻、横浜港から1隻)で、2,000人が一般公募抽選で招待された。たまたま、その抽選(前回2012年の抽選倍率は6.32倍)に当たり、5月20日の観閲船の第4隻目(観閲船隊の最後尾)の「だいせん」舞鶴海上保安部所属、ヘリコプター1機搭載型)の乗船券が送られてきたので、乗り場の晴海埠頭に東京駅から路線バスに乗り換えて行った。

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「働かせ方改革」から「生き方改革」へ

働かせ方改革

最近、「働き方改革」が議論されているが、その実相は「働かせ方改革」でなかろうか。そもそも、国主導で、個人の働き方を云々するのはおかしい。人を雇い働かせる側に対して、働かせ方を規制するのであれば分かる。長時間労働問題、過労死問題等を引き起こさないための対策や、ワークライフバランスに配慮した対策、これは全て雇う側の働かせ方の問題であり、「働かせ改革」と云った方が目的、論点が明確になる。

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春間近の雨と雪の小田原、熱海で歴史を観る

2018年3月20日から21日にかけ、熱海の宿に泊まる機会があり、3月下旬に入ったと思えない寒さのなか、雨の小田原城を観て、夕方、熱海の宿に泊まった。明けて朝からは天気予報通り、雪交じりの雨となった。

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藤井聡太6段にみる経験知と創造知の戦い

時代をつくる棋士の系譜

藤井聡太棋士(15歳)が、全棋士が参加する第11回朝日杯将棋オープン戦佐藤天彦名人(準々決勝)、羽生善治竜王(準決勝)、広瀬章人八段(決勝)を破り、初優勝を果たし、わずか16日で5段を抜け、6段に昇段したと話題になっている。

藤井聡太六段は、大山康晴十五世名人-中原誠十六世名人-谷川浩二永世名人羽生善治永世七冠-渡辺明永世竜王棋王に続く一時代を築く可能性を秘めていると期待されている。是非、そうなって欲しいし、その成長のプロセスを見てみたい。

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書評「着地型観光の創り方 地方創生ディレクター」

地方創生が謳われ、全国各地で地方創生に向けて様々が取り組みがなされている。そうした中で、やはり、最大の課題は地場に根付いた地方創生のリーダー的人材を含む専門家の存在の有無ではなかろうか。

地方創生をめぐる経緯と取組の概要 ― 「将来も活力ある日本社会」に向かって ― 内閣委員会調査室、立法と調査 2015. 12 No. 371
まち・ひと・しごと創生総合戦略(2017 改訂版) 平成 29 年 12 月 22 日 

こうした課題に応える本が最近出版された。それが、「着地型観光の創り方 地方創生ディレクター」(編著:青山学院大学 玉木 欣也、第1版 2017年10月1日)である。これは、青山学院Hicon ブックス 地方創生シリーズ 第二弾として出版されたものである。因みに、第一弾は「地方創生プロデューサー」である。

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出生率1.8を達成するには

「希望出生率1.8」の難しさを実感

2年前の本ブログで、娘が一人目の子供を出産した際に、「子育て支援雑感」を書いたが、年末にその娘に二人目の子供が生まれた。前回と同じように、出産1ヶ月前頃から、出産帰省したが、今回は前回と違って、2歳になる孫と一緒である。二人目の子供を産むことの大変さ、すなわち、新アベノミクスが標榜する「希望出生率1.8」の難しさを実感した。

アベノミクス5年と今後の政策課題 ~長期政権で引き続き目指す日本経済の「真の夜明け」~、みずほ総合研究所、2017.12.21

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里山の保全・活用エコシステムの構築へ

里山の実態

最近、「トトロの森」、鳥獣被害、木質バイオマス等により、里山への郷愁、関心が高まってっているが、そもそも里山とは何か、定義は様々で確定していないが、要するに「原生的な自然(人が住まない奥山・深山)」と「平場・まち場」の中間に位置する人の手が入ったあるいは人が利用してきた山(森林)を意味する。

環境省は、「都市域と原生的自然との中間に位置し、様々な人間の働きかけを通じて環境が形成されてきた地域であり、集落をとりまく二次林と、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成される地域概念である」と定義する「里地里山」(国土 の約4 の面積。二次林約800万ha、農地等約700万ha)の概念を提示している。

環境省 自然環境局 里地里山の保全・活用

里地里山の保全に向けて ―二次的な自然環境の視点から―、国立国会図書館、レファレンス 2008.3

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日本品質の神話の崩壊~タカタ・三菱自工・日産・神戸製鋼~

日本品質「Japan Quality」に対する信頼・神話が崩れかけている。

 タカタ エアバック問題

2006年のタカタのメキシコのエアバック工場での原因不明の爆発以来、死傷者を出してきた問題が今年の1月に米国で司法的に決着、そして6月に負債総額1兆円超の戦後最大の倒産に至り、米国キー・セイフティー・システムズKSS(1年前に中国の均勝グループが買収)に1,750億円で事業譲渡されることになった。この間、タカタはメーカーとしての原因究明等の当事者意識、責任感が希薄であった。

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